大和ハウス工業株式会社

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TWO-WAY 総技研とあなたをつなぐ2WAYコミュニケーション・ペーパー02

研究ピックアップ

研究ピックアップ 1

新商品の防耐火認定取得

井田 勇治/信頼性センター

井田 勇治の写真

認定合格へ灼熱の社内試験を重ねる

1993年当時、奈良工場にあった中央試験室にいた井田は、突然、つくばの建設省建築研究所(現・国立研究開発法人建築研究所)へ出向を命じられた。翌年開設が予定されていた総技研に、耐火炉を立ち上げるためだった。1年後、出向を終えて関西に戻ってきたものの、社内には井田の他に耐火を学んだ専門家はおらず、井田は少しでも分からないことがあると、そのつど吹田市の(一財)日本建築総合試験所まで出向いて教えを請い、孤軍奮闘しながら、そこで得た知識をフル活用して、総技研開設と同時にようやく耐火炉を立ち上げたのだった。

井田の仕事は、本社商品開発部から持ち込まれる新商品の設計が、国の定めた防耐火性能を有するかを検証することなのだが、彼の立場には微妙なところがある。

壁用防耐火試験炉で840℃にも達する火災を実現。試験は、前面に壁材を設置して行われる。

商品開発部が要求する仕様は、施工性・生産性・経済性を重要視するが、井田から見れば、まず国の認定試験で耐火性能がパスしなければ商品として意味がない。だから、開発サイドの希望を聞いた段階で、「それで認定に受かるわけがない」とはっきり言うのである。これで議論が過熱する。周りには大喧嘩に見えるほど、真剣にやり合うこともあるという。

反面、楽しい議論も多い。社内試験の結果がダメなときは開発のスタッフと一緒に、どこをどう改良すれば良いかアイデアを出し合うのだ。熱的弱点部を補うために、遮熱材として、どのような材料を、どの程度の大きさで、どのように取付けるかなど、長年の経験から経済性と耐火性能とのバランスをアドバイスする。

一般に誤解が多いのは、社内試験で認定基準を少しでも上回れば大丈夫と考えていることである。準耐火45分が基準の場合、開発スタッフは社内試験で47分OKなら満足するが、井田が求める性能は最低50分。認定試験は社内試験と微妙に条件が違うので、基準に達せず不合格になることもあるからだ。「いまだに、胃に穴があくかと思うときがある」と言う。性能に余裕を持って認定試験に臨んでも、試験場で加熱が10分を超すと、今でもドキドキするのだとか。「まさかと思いつつ、何があるか分からないから」。前日に、不合格になる夢を見たこともある。

巨大な防耐火試験炉は、タテ3m×ヨコ2.7m。ここに試験体(壁材)を固定し炎を吹き付けて防耐火性能を検証する。最高40tの荷重をかけることもできるので、実際の火災に近い状況が再現される。

大変な仕事だが、これから挑戦していきたいことはと問うと、「新しい試験方法が制定された時には、常に他社に先駆けてチャレンジしていきたい」との答えが返ってきた。あくなき研究者魂を見た。

井田 勇治(いだ ゆうじ) 信頼性センター

農芸化学科出身/1983年入社/20数年前にゼロから学んで、苦労の末に総技研の耐火炉を立ち上げた防耐火試験のパイオニア。耐火耐久性能グループの主任研究員を務める。

研究ピックアップ 2

鉱物油汚染土壌対策工法「オイルバクット工法」で認証取得

河目 裕介/フロンティア技術研究室

河目 裕介の写真

認証取得で顧客の安心感+社内の認知度もアップ

オイルバクット工法は、大和ハウス工業が初めて取得したバイオ関連の技術認証である。この工法は、ガソリンスタンド跡地など鉱物油で汚染された土壌に残存する油臭や油膜、油分濃度の低減を目的としたもので、河目は入社後すぐに研究に参加。2014年に認証を取得している。

この工法は、油の吸着に優れた活性炭と油分解能力の高い微生物(油分解菌)を組み合わせて汚染土壌に混合することで、低コスト・低環境負荷で浄化できるバイオ浄化技術である。河目が研究期間のほとんどを費やしたのは、材料探しと膨大な量の実験だった。候補の活性炭は100種以上、油分解菌も様々な種類を全国から取り寄せた。さらに実験用の汚染土壌も土質や油の種類・濃度が異なるものを揃え、これらの組み合わせをひとつずつ変えながらすべて試したのである。ひたすら土を混ぜては分析作業を繰り返す地味な作業の毎日だったが、その積み重ねにより、この工法の確かな効果が認められた。

「バイオ技術は、社内ではまだ歴史が浅く十分に知られていない。第三者の御墨付きである認証が取れたのは、社内的にも良かった」と言う河目は今、植物と微生物の力を活用した空気浄化技術の開発に奮闘している。

認証取得の「現場視察」の過程では、総技研の中にテスト用エリアを設け、評価委員の先生方の目の前で土壌に浄化資材を混ぜ込み、油臭と油膜の低減効果を実際に確認いただいた。

河目 裕介(かわめ ゆうすけ) フロンティア技術研究室

バイオサイエンス研究科出身/2008年入社/植物や微生物を活用し、環境浄化技術の開発や、人々が心身ともに健康で快適に過ごせる理想の室内空間づくりに挑戦し続けている。

研究ピックアップ 3

食品衛生に貢献する「青果殺菌洗浄システム」で認証取得

大野 喜智/フロンティア技術研究室

大野 喜智の写真

新市場の開拓へ電気用品の認証を取得

大野が開発した「青果殺菌洗浄システム」の特長は、殺菌洗浄水として一般的な次亜塩素酸ナトリウムよりも、安全で除菌・殺菌・消臭等の効果が大きな「微酸性電解水」を採用したこと。もう1点が、国内初の「有効塩素濃度(およびpH)測定装置の内蔵」で、殺菌に必要な濃度を常時測定・記録できること。これらは、2020年頃から食品関連業者に制度化が予想されている、食品衛生管理の国際標準HACCP(ハサップ)に的確に対応したものだ。

この製品は、設計・製造段階で自社検査に合格をすれば認証を取る必要はないが、大野は電気安全環境研究所(JET)に製品を持ち込み、あえて第三者による適合性検査を受けて認証を取得する。「食品業界のお客様に大和ハウス工業の新商品に対して、性能・安全性への100%の信頼感を持ってもらうために、認証取得が有効と考えた」と言う。HACCPが制度化されれば、市場規模は一気に拡がるだろう。「海外にも打って出たい」と、大野の目は早くも海外市場に向けられている。

社内のアイデアコンテストで選ばれたテーマを製品化したのが、青果殺菌洗浄システム。世界進出を目標にしています

今年6月、「FOOMA JAPAN 2018(国際食品工業展)」にてホシザキ株式会社様のブースで紹介された。

大野 喜智(おおの よしとも) フロンティア技術研究室

工学研究科環境工学出身/2004年入社/入社以来、バイオマスの研究、発熱外来施設の 開発、植物栽培ユニット「agri-cube」の開発など多彩なテーマに取り組み実績を上げている。

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