CASE9
高齢者住宅
サービス付き高齢者向け住宅 幸鈴園
- 所在地:
- 徳島県徳島市
- 構造:
- 鉄骨造
- 延床面積:
- 2,341m2
- 竣工:
- 2012年7月
- 用途:
- サービス付き高齢者向け住宅(10室)、ショートステイ(30床)
漢方鍼灸とリウマチ膠原病の専門外来という二本柱を中心に一般診察外来を加え、地域医療への貢献に取り組まれている医療法人 東洋病院様。開院以来、当初からの診療所の建物に増築を重ねて、診療を続けてこられましたが、近年は建物の老朽化が進み、患者様にご不便をおかけすることが多くなってきたため、さらなる病院機能の充実を目的に、新たに外来棟の建築を検討されていました。
施設づくりにあたっては、「在宅支援機能の強化と退院患者様の受け皿を確保したい」との考えもあり、高齢者住宅との併設を計画されました。
東洋病院様の新病棟建設(2019年)についてはこちらでご紹介しています。
計画のポイント
モダンな外観と患者様に応じた動線に工夫した施設設計
施設外観は、医療施設と住居系施設を互いに融合させたイメージで設計され、色合いも濃色を効果的に用いることで、全体的にモダンなイメージに仕上げました。1階の外来部分では、内部で患者様に応じた動線を明確にすることにより、安心して利用しやすい設計となってます。
従来のイメージを一新する色使いとデザインを施したモダンな外観。地域住民からも高い注目を集めています。
将来の仕様変更を可能とする居室設計
サービス付き高齢者向け住宅(10戸)とショートステイ(30室)の居室は、基本的に同様の面積・仕様となっています。これには、現在ニーズの高いショートステイを中心に運営しながらも、将来的なニーズの変化を見据え、いざというときにサービス付き高齢者向け住宅への転用が可能なためで、将来の事業展開を見据えた設計です。
十分な広さと明るさを備えた居室。将来的な用途変更を視野に入れ設計されています。
高齢者住宅との併設で高まる在宅支援機能
サービス付き高齢者向け住宅とショートステイは、療養病床(50床)の患者様が不安のない「退院後の生活の場」としても提供することが可能。複合施設にしたことで、入居者様や利用者様にとっては「医療機関がすぐそばにあるという安心感」を与え、東洋病院様にとっても在宅支援機能の強化が図れるという効果が期待できます。
建物の東側に設けられた、ショートステイ・サービス付き高齢者向け住宅の玄関。外来棟の玄関とは向きを変えることで、互いの顔を合わせることなく出入りできるよう配慮されています。
お客様の声
病院機能の充実と
地域の医療・介護・福祉への貢献が両立できる施設
医療法人 東洋病院
理事長 清水 寛様(右)
理事 清水 輝記様(左)
(2012年当時)
高齢者が快適で安心して暮らせる住まいを提供するには、いかに医療と介護と福祉を連携させていくことが重要なポイントだと考えています。
当法人では、2005年に大和ハウスさんに建築をお願いしてグループホームを開設しましたが、今後さらに地域密着度を高めていくため、『もっと地域の高齢者とその家族の役に立つことを』と考えたとき、今回ショートステイという結論に達しました。併設したサービス付き高齢者向け住宅も、退院後に行き場のない方や事情のある方のためになればいいと思っています。もちろん、地域の高齢者を取り巻く環境が今後どう変わっていくかは分かりません。そういう意味でも、今回提案いただいた“どちらへも転用可能な同一の部屋タイプ”というプランは、非常に有効だったと思っています。
大和ハウス工業さんにお願いしようと思った大きな要因は3つあります。一つ目は、介護施設のみならず診療所や大型の病院建築にも数多く携わっておられ、全国で実績とノウハウを積み重ねておられることに対する信頼性の高さです。特にシルバーエイジ研究所という独自の部門があったからこそ、施設内の至る部分に細かな配慮を感じています。二つ目は、外来棟のみの建築ではなく、複合化施設をご提案いただいたこと。当法人では、院内に医療療養病床15床と介護療養病床35床(当時)を有しており、また近隣にグループホームを運営するなど、地域の高齢者に対する医療・介護への取組みに力を入れてきました。そうした思いは今回の施設建築にあたっても強く持っていたのですが、地域ニーズはもちろんのこと、建築投資とその後の収益のバランスを考慮した上でのプランだと、とても満足しています。特にサービス付き高齢者向け住宅は、将来的に介護療養病床が廃止になったときの対応策として非常に有効となると感じています。
最後は、やはり企業としての信頼性です。一時は、設計事務所に依頼をしようかと考えていたのですが、やはり設計~施工まで一貫して引き受けてくださるほうが何事もスムーズに進み、何かあったときの対応力も違うと思い、大和ハウス工業さんにお願いして良かったと実感しています。
東洋病院様の新病棟建設(2019年)についてはこちらでご紹介しています。