トレンド
【イベントレポート】フードディストリビューション2019 プレゼンテーションセミナー「大和ハウス工業の食品施設トータルサポート」 執行役員 建築事業副担当 竹林 桂太朗
公開日:2019/10/23
大和ハウス工業は、建築会社・住宅メーカー・デベロッパーという3つの顔を持っていますが、もともとは建設会社で、食品の製造施設や物流施設を数多く手掛けてきました。約7,650棟、水産、食肉、弁当工場など、さまざまなものを手掛けさせていただいています。また、皆様が食品を飲食する施設も作っています。
食品物流の変化
食品物流は、歴史の中で大きな変化を遂げてきました。大和ハウス工業が食品関連のお客様からオーダーを受けてきた中での変化をご紹介します。
まず、第1期、1970年代以降、低温物流のニーズが増えて、コールドチェーンが台頭します。「モータリゼーションによるトラック輸送比率の上昇」「温度管理が必要な食品の物流網の形成、設備の高度化が進む」などが進展し、チルド食品や生鮮品が食品スーパーの店頭に並ぶようになります。そしてモータリゼーションの発達によって郊外型のロードサイドの店舗が生まれてきました。その中にはファミリーレストランやラーメンチェーンなどが出てきて、食品の配送というものが重要視されるようになってきました。
第2期は1990年以降、小口化と個人向け需要の拡大期です。大手の配送事業者様が、BtoCの配送に力を入れ始めました。このBtoCの配送の中で、最初はドライものしか扱わなかった配送事業者様が、冷凍・冷蔵物を運ぶようになりました。これが第2の拡大期です。
そして第3期は今です。国内需要では、冷凍・冷蔵の配送の需要がかなり増えてきました。また、国土交通省が、アジアでコールドチェーンを作っていこうという、「ASEANスマートコールドチェーン構想」を打ち出しました。ASEANスマートコールドチェーン構想には大和ハウス工業も賛同して、すでに各国で物流施設を展開しています。
電子レンジの普及率が冷凍加工食品の消費量と連動するということはすでにご承知のとおりだと思いますが、電子レンジの普及率は、日本は100%、アジアで一番多いのはシンガポールで70%くらいです。マレーシア9.3%、タイ8.2%、フィリピン6.1%、ベトナム4.0%、インドネシア0.9%となっています。国交省の構想では、この普及率の低い5カ国を選定しており、私どももこの5カ国に進出することを考えています。
日本の農林水産物の出荷額推移のグラフを見ると、2018年には9068億円となっています。
2012年は4497億円でしたので、今の半分弱です。年を追うごとに出荷額はどんどん増えています。これから日本のものがアジアに出荷される可能性が高くなるだろうと考えています。これが、私どもが認識している時代背景です。
コールドチェーンに対応したものは、すでに各国で行っています。日本でも「Dプロジェクト坂出」、海外ではベトナム、インドネシアですでに展開中です。マレーシアでは地元大手の外食チェーン専用のセンターを現在建築中です。
このように、日本全国、海外どこであったとしても、大和ハウス工業は、国策にそって、皆様が進出するときの施設として、土地を探すところから施設づくりまで含めてトータルサポートすることができる体制を整えています。
川上から川下までのトータルソリューションを提供
HACCP※(ハサップ)に関しては、皆様ご存知のとおり制度化されています。2018年6月に改正食品衛生法が公布され、原則としてすべての事業者が「HACCPに沿った衛生管理」を行うこととされました。しかし、食品の製造施設では当たり前のことが、配送の現場では当たり前になっていません。私どもの小売りの現場、外食の現場においては、必ずHACCPの話は出てきます。認証を取る必要がなかったとしても、それに準ずることがどれだけ必要かということをお客様から言われます。
そうなるとサプライチェーンにおいて、川上だけの話ではなく、製品の配送という川下までその影響が及ぶ可能性があります。私どもは認証のサポートから防虫・防鼠、クリーン設計、GMP準拠、省エネ・畜エネまで行っていますが、それを食品の製造施設を設計する専門グループから物流の設計をするグループまで対応しなければならないと考えています。
食品工場においても、多くの施工事例があります。毎日コンビニエンスストアに出荷される弁当と総菜の工場、水産加工工場、カットフルーツ工場など、さまざまな用途の工場を手掛けています。例えばカットフルーツ工場であれば、飛び散った果汁は糖質です。飛び散って酸素に触れた瞬間に酸化をします。それは、当然ながらサビの原因になります。私どもは、常にこうしたことまで念頭に置きながら施設づくりをしています。
食品物流施設に求められるものは、「製品の適切な取り扱い」「食中毒菌増殖を防止するための適切な温度管理」「施設・設備の衛生管理」「倉庫・保管施設の衛生管理」「有害生物の防除」です。
こうした施設を求められたとき、大和ハウス工業では、HACCP対応の実績からも常に適切に対応ができると思っています。
結論として、工場・倉庫・店舗まで手掛ける大和ハウス工業は、川上から川下までのトータルソリューションを提供し、ハード・ソフト両面で食品の安全・安心のノウハウを皆様にご提供できると確信しております。何かございましたら、ご検討よろしくお願いいたします。
※ Hazard Analysis and Critical Control Pointの略。食品を製造する際に工程上の危害を起こす要因(ハザード;Hazard)を分析しそれを最も効率よく管理できる部分(CCP ;必須管理点)を連続的に管理して安全を確保する管理手法である。