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【イベントレポート】「強い物流」実現に向けたハード・ソフトの標準化
~「関係者の連携・協働による物流の生産性向上に資するシンポジウム」の開催~
公開日:2019/02/28
国土交通省は、現在、今後の経済成長と国民生活を支えていく「持続可能な」を構築するため、「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」(平成29年7月閣議決定)に基づき、物流の生産性向上に向け、「繋がる」「見える」など6つの視点で、物流に関する施策を推進していますが、より一層の進展と関係者の連携・協働を促すことを目的に、2019年2月19日、東京大手町にてシンポジウムを開催しました。
本シンポジウムでは、「持続可能な」とは何か、関係者の連携・協働に向けてどのように取り組めばよいのか、荷主、物流事業者間におけるデータ・システム仕様及びパレット仕様等のユニットロードの標準化による物流の効率化をどのように実践していくのか、具体的な事例を交えながら、関係会社の様々な取り組みや、国土交通省のこれらの施策などが幅広く紹介されました。
昨今の物流施策に関する高い注目を象徴するかのように、シンポジウムには、定員をはるかに超える来場希望者があり、満席の状態で行われました。
シンポジウム概要
名称 | 関係者の連携・協働による物流の生産性向上に資するシンポジウム |
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日時 | 2019年2月19日(火)13:30~16:00 |
場所 | 東京都千代田区大手町1-8-1KDDI大手町ビル TKP東京駅大手町カンファレンスセンターホール |
内容 | |
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開会あいさつ |
大塚 高司(国土交通副大臣) |
【第1部】 | 企業連携による生産性向上に向けた取組 物流の生産性向上を目指して 物流の標準化調査概要 |
【第2部】 | モデレーター矢野 裕児(流通経済大学教授) EDIシステムによる流通取引情報の標準化 PB商品の3つの効率化の取り組みについて リードタイムの工夫によるASNを活用した検品レス |
生産性向上に向けた標準化の推進
まず、大塚高司 国土交通副大臣による開会ご挨拶のあと、矢野裕児流通経済大学教授による「企業連携による生産性向上に向けた取組」と題した基調講演が行われました。
その中で、本当の物流改革のためには、「共有化」「標準化」「連携」が不可欠であり、個社単位で行える「単純な取り組み施策」から「物流における業務改善」、「企業戦略レベルでの見直し」、そして「企業間の連携のもとで取り組むこと」まで段階を追って進めていくことが重要であり、そこまでいくと効果が大きくなることを紹介いただきました。
次に、「物流の生産性向上を目指して」と題して、山田輝希 国土交通省総合政策局物流政策課長からのご講演がありました。
2017年7月に閣議決定された「総合物流施策大綱」にある「物流の生産性向上に向けた6つの視点」から、特に「繋がる」に関する施策を中心に、「連携・協働を円滑化するための環境整備」「物流総合効率化法による物流効率化事業の支援」、さらに2018年11月に設置された国土交通省の「共同物流等の促進に向けた研究会」についても紹介されました。
そして「物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現」について、モノの動きと商品情報を見える化し、企業・業界の垣根を越えてデータを蓄積・解析・共有する「物流・商流データプラットフォームを構築し、トラック積載率の向上や再配達の削減等を実現する「スマート物流サービス」の構築など、新技術(IoT、BD、AI等)の活用による「物流革命」の推進についての紹介がありました。
第一部の最後には、大野幸雄 日本アプライドリサーチ研究所代表取締役社長より、物流標準化の具体事例の紹介がありました。
第2部では、矢野裕児 流通経済大学教授をモデレーターにして、4社の物流標準化に向けた取り組み、「レンタルパレット共同利用への取り組み」「EDIシステムの活用による流通取引情報の標準化」「ダンボールモジュール化の取り組み」「リードタイムの工夫によるASN(Advanced Shipping Notice)を活用した検品レスへの取り組み」が発表されました。
現在、物流に関する人材不足、労働環境改善、そして物流生産性の向上によるサービス品質の向上という課題は、あらゆる企業にとっての大きな課題となっており、企業価値の向上に直結する問題でもあります。標準化、共有化、そして業種を超えた連携は、物流生産性の向上には欠かせない課題であり、より一層の進展が求められています。