CRE意識調査レポート
アンケート調査に見る、企業のCREに関する意識【4】CRE戦略と生産性向上
公開日:2017/03/31
企業が保有する不動産を、経営者、事業責任者は、CREの観点からどのようにとらえているのか、不動産資産を有すると答えた全国のビジネスパーソン(経営者ならびに部門・部署責任者)300名にアンケート調査を行いました。
4回目は、CRE戦略と生産性向上に関する調査報告です。
詳しい回答者プロフィールについては、コラムNo.30-1をご覧ください。
【CRE戦略と生産性】
Q:CRE(企業不動産)を有効活用することで、生産性の向上への期待は高まりますか。(MA)
CRE戦略と生産性の向上との関連についての質問です。約4割の人が、CRE戦略が「生産性向上への期待はない」と答え、不動産活用と生産性は別物と考える人が多いと言えるでしょう。しかし、「主要事業の生産性」(27.0%)、また「ワークプレイスの改善による生産性の向上」(14.7%)や「コスト削減による生産性の向上」(12.7%)などの間接的な生産性向上を期待する企業は約6割存在し、CRE戦略が生産性向上につながると考える企業は多いといえます。
CREの有効活用と生産性向上の関係
生産性向上への期待/CRE戦略への取り組み意欲
CRE戦略実践による「生産性向上への期待」と「CRE戦略への取り組み意欲」の関連を見てみると、全体では約4割の企業が、CRE戦略に「生産性向上への期待はない」と回答しています。注目したいのは、必要性を感じていると回答した企業です。「必要性を感じており、今後の課題である」(2.9%)、「必要性を感じているが、どうすればいいのかわからない」(5.9%)、「必要性は感じているが、本業との結びつきが不明」(13.3%)と、平均よりかなり数値が低く、必要性を感じている企業の多くは生産性向上への期待を持っていることがわかります。
一言で「生産性」といっても、その内容は、主要事業自体、ワークプレイス改善、資産としてなど、企業によって異なります。その企業の環境、特性に応じたCRE戦略が必要だということでしょう。
クロス集計 生産性向上への期待 × CRE戦略への取り組み意欲
生産性向上への期待/現在の活用満足度
CRE戦略実践による「生産性向上への期待」と「保有不動産の現在の活用満足度」の関連を見たものです。明確に「もっと良い活用法はないか」と追及する企業が9割以上「生産性への期待」があるのに対して、「良い方法がわからない」「良い方法があれば取り掛かりたいが難しい」と考える企業の約6割が、CRE戦略による生産性向上への期待をしていません。消極的な企業なほど、生産性の向上への期待は低いようです。
ただし、現状の方法に満足している企業は、生産性向上へ期待する答えと期待はないとする答えがほぼ半数に割れています。
現状の活用方法に満足していながら、本来のCRE戦略の主要目的のひとつともいえる「生産性向上」を求めない活用を行っているわけですから、本当にその活用方法でいいのか、見直すことも必要かもしれません。
クロス集計 生産性向上への期待 × 保有不動産の現在の活用満足度
生産性向上への期待/CRE戦略の目的
CRE戦略実践による「生産性向上への期待」と「CRE戦略の目的」との関連について見てみました。やはり、目的意識が明確な企業は、生産性向上への期待も高くなっています。
特に、「主要事業の生産性向上への期待」を持つ企業は、どの課題項目も数値が高く、すでに明確な課題意識、目的意識を持っているのが見て取れます。また、目的別でみると、目的に「M&A」を挙げる企業が「生産性向上」への期待も高く、CRE戦略と「M&A」の関連が高まっていることを示しているといえるでしょう。
クロス集計 生産性向上への期待 × 戦略の目的