“みどりをつなごう!”
大和ハウスグループは、2010年にハウスメーカーとして初めて包括的な「生物多様性宣言」を公表し、いち早く生物多様性に配慮した事業活動を推進してきました。2021年にはこれまでの取り組みを統合し、新たに「みどりをつなごう!」というグループ共通の緑化コンセプトを制定し、ネイチャーポジティブに向けた挑戦を行っています。
都市部では人口集中により宅地化が進み、日本固有の自然環境の減少・分断化が懸念されるなか、当社グループは生態系への影響を最大限抑制しつつ、豊かな緑を次世代へつないでいく取り組みを推進しています。地域の自然と調和したまちづくりを通じて、生態系ネットワークの構築や良質なコミュニティづくりに貢献しています。
在来種の緑化推進 2030年までに200万m2の生態系に配慮した緑地を創出
当社グループの特長は、日本全国で多数の施設に関わっている点にあります。地域密着型の事業で、住宅から店舗、工場、事務所、物流施設など、多岐にわたる施設の建設・管理運営を行っています。私たちはこの特長を生かし、「より多く」「より大きく」「より近接した」緑の創出に取り組んでいます。
日本は、国内でも地域によって生態系が異なります。そのため、当社グループでは、環境省が作成した「生物多様性保全のための国土区分」を参考に、事業地域を9つに区分し、それぞれの地域ごとに古くから自生している在来種をリスト化しています。そのリストに沿って、在来種をはじめとする多様な種類の樹木を植え、地域の生き物の生息環境を整備することで、豊かな生態系ネットワークの構築に貢献しています。
出典:生物多様性保全のための国土区分図
(環境省試案を基に当社作成)
地域の植生や文化的背景に沿った植栽計画
(みらい価値共創センター 奈良県)
日本のなかでも地域によって生態系が異なるため、
地域区分に沿った在来種を植えることで、生態系ネットワークの連続性を確保
私たちは、あらゆる地域において、生物多様性に配慮したデザインやまちづくりを通じて、2030年までに新たに200万m2の生態系に配慮した緑地を創出することを目指しています(2012年度比、累積)。また、分譲マンション・物流施設といった大規模物件については、量・質ともに高いレベルでの緑地創出・生物多様性保全活動が行われていること示すため、一般社団法人いきもの共生事業推進協議会によるABINC(エイビンク)認証の取得にも積極的に取り組んでいます。 地域の自然環境を大切にしながら、まちに豊かな緑を創り出し、次世代にわたって原風景となるようなまちづくりを行っていきます。
プレミスト湘南辻堂(神奈川県)※分譲済
日本トランスシティ株式会社様
三重朝日物流センター(三重県)
30by30への取り組み ステークホルダーとの協働による生物多様性の保全
当社グループは、保有する施設において市民団体や学識者、地域市民をはじめとするステークホルダーと協働しながら、生物多様性の保全に取り組んでいます。ネイチャーポジティブに向けた施策の一つである「2030年までに陸と海の30%以上を自然環境エリアとして保全」することを目指す「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」の目標に沿って、生態系のモニタリングや保全活動の実施、環境学習プログラムなどを継続的に実施しています。保全活動を行っている地域では、環境省が定める「自然共生サイト」の認定取得を進め、生物多様性に貢献するまちづくりを推進していきます。また同時に、社是の冒頭に掲げる「事業を通じて人を育てる」という考えに基づき、さまざまなステークホルダーが自然と触れ合う機会を提供することで、2050年の自然と共生する世界の達成に向け、自然を共に守り・育てるための「共創人財」の育成や社会変容にも取り組んでいます。
ブランチ神戸学園都市
(自然共生サイト認定)
三重工場 生き物観察会
自然を活用した解決策 グループの総合力を生かした多面的なアプローチ
私たちは、昆明・モントリオール生物多様性枠組が定めるターゲットの一つである、自然を活用した解決策(Nature-based Solutions)にも積極的に取り組んでいます。グリーンインフラなどの先進技術を採用することによって、生物多様性の保全だけでなく、気候変動の進展に対する社会のレジリエンス向上にも貢献しています。
また、グループ会社においては、大阪城公園をはじめとする都市公園の管理や、屋上・壁面の緑化事業なども手掛けています。四季折々に変化する豊かな緑の景観は、住む人の心と身体を癒やし、生活に潤いをもたらしてくれます。私たちは、人々の心身の健康やストレスの軽減(ウェルビーイング)、社会的・文化的なつながりの確保にも貢献していきます。
ICTを活用したヒメボタルの保全(大阪府)
大宮交通公園(京都府)