コラム vol.115
「データで読み解く 土地活用の極意」
データで読み解く 知っている企業は得をする!
CRE戦略の本質 vol.2
公開日:2016/01/29
電鉄・バス会社の事例
ある電鉄・バス会社では、使わなくなったバス車庫用土地の上に高層賃貸住宅を建てて、大きな収益を上げています。遊んでいた、あるいは、効率よく使っていなかった土地が莫大なお金を生むことになったわけです。
この電鉄・バス会社では、有効活用していなかった土地の活用法として、分譲マンションとして売れそうな場所では、自社がディベロッパーとなり開発・販売してきました。それ以外は、他社に売却したり、土地を賃貸したりしていたようです。
しかし、分譲マンションや土地を売却するということは、その土地を手放すことに他ならなりません。一時的な売上増にはなりますが、安定的な収益は見込めません。そこで賃貸住宅としての利用が検討されました。まずは、使わなくなった電車関連施設跡地にビジネスホテルを建設して運営。これが大成功を収めました。続いて、賃貸住宅を建てて自らが貸主となって賃貸住宅経営を始めました。ビジネスホテルも賃貸住宅事業も、次々と何棟も建て、どちらも大きなビジネスに成長しています。
企業が所有する不動産の精査の方法としては、これまでは所有か賃貸か?という比較的シンプルな思考での検討でした。しかし、近年では、経営の視点、財務の視点も併せて考えることで、単純な不動産の論点ではなく、新たなビジネスとして検討する企業も増えてきました。
先に述べた企業以外でも、多くの電鉄会社は自社土地の有効活用としてうまくビジネスに繋げています。
中堅企業でも活用が進む
一方、中堅~中小企業においても同様の事例が見られます。ある製造業では自社土地の有効活用として所有する土地の一部に賃貸住宅を2棟建てました。
この企業が使っていた機械設備は、進化して小型化が進み、大きな工場が不要になったのです。その空いたスペースの利用を検討。売却しても期待していた金額にならないとして、賃貸住宅を建てて、安定収入を得ることにしました。
日本の製造業は強いとはいえ、先行きは不透明で、世界的な不況などが起こると、一気に経営悪化にもなりかねません。そんな時でも賃貸収入があれば、従業員の給料はまかなえるとして、危機回避の保険にもなっているようです。
また、ある小売業では、築40年を超え老朽化したスーパーの建て替えを契機に、上層階(2階以上)を賃貸マンションにする計画を進行させています。これにより、不安定な小売業の売上だけでなく賃料という安定収入を見込む計画です。