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コラム No.34

CREコラム

新技術によって「物流を革命的に変化させる」

公開日:2017/08/28

国交省「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」が閣議決定

国交省は、物流が果たすわが国の産業競争力の強化、豊かな生活、地方創生を支える社会インフラとしてより一層の強化を図るために、平成29年7月28日、「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」を閣議決定しました。

「今後の物流施策の方向性と取組」として以下の6項目が策定されましたが、なかでも「新技術の活用による“物流革命”」は、下記の(1)~(4)を支えるものだという位置づけとして強調されています。

  1. (1)サプライチェーン全体の効率化・価値創造に資するとともにそれ自体が高い付加価値を生み出す物流への変革(=繋がる)~競争から共創へ~
  2. (2)物流の透明化・効率化とそれを通じた働き方改革の実現(=見える)
  3. (3)ストック効果発現等のインフラの機能強化による効率的な物流の実現(=支える)~ハードインフラ・ソフトインフラ一体となった社会インフラとしての機能向上~
  4. (4)災害等のリスク・地球環境問題に対応するサステイナブルな物流の構築(=備える)
  5. (5)新技術(IoT、BD、AI等)の活用による“物流革命”(=革命的に変化する)
  6. (6)人材の確保・育成、物流への理解を深めるための国民への啓発活動等(=育てる)

出典:国土交通省「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」

もともと、物流業務は配送先、荷量、品目、荷姿等が毎回違い、自動化、機械化が難しい業務とされてきましたが、人材不足、労働力不足が大きな問題となっている現在、IoT、BD、AI等の技術を活用した、効率化、付加価値の向上、サプライチェーンの最適化への取り組みは必須の事柄だと言えるでしょう。
また、これまで実現しなかった企業間での連携や業務自体の効率化、最適化による働き方改革(雇用の確保)、インフラの機能強化、環境問題への対応、などもIoT、BD、AI等のICT技術なくしてはありえないことであり、物流事業の変革、成長には欠かすことのできないことです。

「新技術(IoT、BD、AI等)の活用による“物流革命”(=革命的に変化する)」の具体的な内容としては、以下の5つの要素に分類したうえで紹介されています。

  1. 1:IoT、BD、AI等の活用によるサプライチェーン全体の最適化
  2. 2:隊列走行及び自動運転による運送の飛躍的な効率化
  3. 3:ドローンの物流への導入による空の産業革命
  4. 4:物流施設での革新的な生産性向上と省力化
  5. 5:船舶のIoT化・自動運航船

1:IoT、BD、AI等の活用によるサプライチェーン全体の最適化

IoT、BD、AIを活用したサプライチェーンの最適化とは、様々なデータを活用することにより、無駄のない生産計画、販売計画、在庫計画などを実現することであり、企業活動全体を最適化し、競争力を高めていこうとすることです。 この「総合物流施策大綱」では、ひとつの例として小売企業が持つデータ、メーカーや卸売り企業の持つデータと気象データやAIが解析した需要予測などを共有し、分析することで、サプライチェーン全体を最適化・効率化し、在庫日数、欠品件数や輸送コストを削減することが可能になると紹介しています。

2:隊列走行及び自動運転による運送の飛躍的な効率化

ドライバー不足に関しては、昨今物流業界でももっとも大きな課題となっており、自動運転の技術開発は待たれるところです。さらに、効率化・高付加価値化の観点からも大きな可能性を持っています。
具体的には、以下のような計画が明記されています。

  • ・後続車無人の隊列走行の商業化を目指して、高速道路での後続無人での隊列走行を実現
  • ・後続車有人システム及び後続車無人システムの公道実証実験に向け、具体的な走行場所や走行方法を確定した走行計画を整備
  • ・ダブル連結トラックの実験の状況も踏まえ、隊列走行に用いる技術や実証の成果や運用ルール等に応じ、インフラ面等の事業環境を検討

3:ドローンの物流への導入による空の産業革命

ドローンの活用も、過疎地などへの無人輸送、災害時の輸送手段など、大きな期待が持たれている分野です。技術面、法律面、管理システムなど、まだまだ解決すべき問題は多いとはいえ、国交省は物流の効率化や省人化を目指し、取組を進めています。

  • ・機体の性能評価基準を策定し、複数の機体の同時活動を可能とする運航管理システム・衝突回避技術等の開発や国際標準化
  • ・補助者を配置しない目視外飛行等の実現に向け必要な仕組みの検討

などが具体的な項目として挙がっています。

4:物流施設での革新的な生産性向上と省力化

物流施設内での効率化・高付加価値化も大きなテーマです。現在、特に関東を中心に大規模は物流施設の開発が進んでいますが、これまでの物流施設とは一線を画すような施設も登場しています。
施設内では、物流業務全体の管理システムの最適化に加えて、やはり自動搬送、ピッキングといったロボットの導入・活用が望まれています。また業務内容においても、アシストスーツの軽量化等の性能向上、流通加工や検品も含めた庫内作業の省人化を促進し、生産性の向上、省力化を促進するとしています。

5:船舶のIoT化・自動運航船

コストが抑えられるモーダルシフトも物流における課題のひとつですが、この点においても、IoT技術やビッグデータを活用することによって

  • ・陸上からリアルタイムでの船舶の機器監視や不具合発生時の迅速なサポートの実施
  • ・天候等の予測情報を活用した効率的なルートや航行速度の設定
  • ・船舶が輻輳する航路における交通管制等により、効率的な船舶の航行を可能とする
  • ・自動運航船を社会に取り入れるため、研究開発や基準・ルールの整備などによる海上交通の高度化を進める

といった取り組みが発表されています。

すでに物流業界では、大きな変革が起きていますが、こうしたICT化が進展すれば、物流業におけるイノベーションが加速するのは間違いのないところです。

出典:国土交通省「総合物流施策大綱(2017年度~2020年度)」

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