政府は、安倍晋三首相を議長とする未来投資会議を10月に開いた。大企業を中心に根強い新卒一括採用を見直し、通年の中途採用拡大に向けた官民の取り組み強化策について議論。併せて、健康で意欲のある人が70歳まで働ける機会を確保する制度づくりも進める。いずれも雇用市場の流動性を高め、労働生産性を向上させるのが狙いだ。さらに、政府や企業の関係者で構成する協議会を近く発足させ、11月にも初会合を開く方針となった。
首相は、政府部内での議論を経て「早急に法律案を提出する方向で検討したい」と表明し、2019年夏までに制度の方針を具体化するよう関係閣僚に指示した。「生涯現役社会」の実現へ19年夏に決定する3カ年の工程表にも反映させる。
協議会は、経済産業省や厚生労働省のほか、民間数十社の経営トップらが参加。雇用改革に向け提言などを行う。民間調査によると、規模の大きい企業ほど新卒採用の比率が高い傾向にある。政府は協議会などの活動を通じ、企業に中途採用の積極的な活用を促す構えだ。
また未来投資会議では、意欲のある65歳以上の労働者について、70歳までの就労機会を確保する方策も議論。企業が複数の選択肢から対応を選べる仕組みを軸に検討する。経団連会長も意欲的に取り組む姿勢を示した。
また、「疾病・介護予防に積極的に取り組む市町村や企業や個人などに、補助金を含む優遇措置の検討」「生活習慣病の重症化リスクのある患者に看護師を派遣する地方自治体の取り組みなどの普及促進」なども話し合われた。