厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、2016年度の社会保障給付費が前年度比1.3%(1兆5,020億円)増の116兆9,027億円だったと発表した。急速に進む高齢化を背景に、16年度も過去最高を更新した給付費は、右肩上がりを続けており、抑制が大きな課題となっている。社会保障給付費は、病院の窓口で支払う自己負担などは含まない。
分野別でみると、最も大きいのが「年金」の54兆3,770億円で、全体の半分近くを占める。厚生年金支給開始年齢の段階的引き上げなどで伸びは一定程度抑えられたが、前年度比0.5%増となった。「医療」は0.6%増の38兆3,965億円。診療報酬のマイナス改定による圧縮効果を高齢化による増加分が上回った形となった。
伸び率が最も高かったのは、子育てや介護などを含む「福祉その他」。4.2%増の24兆1,291億円だった。熊本地震に伴う災害救助費用なども押し上げ要因とみられ、このうち「介護」は2.1%増の9兆6,045億円で、15年度の介護報酬マイナス改定の影響を受けて伸び率は過去最低だった。
なお、国民1人当たりの給付費も92万1,000円で過去最高。国内総生産(GDP)に占める社会保障給付費の割合は21.68%で、12年度以来4年ぶりに上昇した。