厚生労働省は、介護報酬の2018年度改定案を社会保障審議会分科会に示し、了承された。
今回の改定では、訪問介護の「生活援助サービス」の見直しが焦点の1つとなった。「家政婦代わり」と頻繁な利用を問題視する声も上がる中、改定案には自治体が利用状況を点検する仕組みの導入が盛り込まれた。超高齢社会に備えて限りある財源を必要なところに振り向ける目的だが、同時にサービス低下を懸念する声も上がっている。
改定案では、生活援助について全国の平均利用回数を大きく上回る利用者のケアプランの場合、自治体がケアマネジャーに届け出を求めるとしている。介護の専門職らによる地域の会議でプランを検証する。これについては、現場から「利用回数を制限しようという目的であるのは間違いない」「利用を控えてしまうことにつながる」といった声も上がっている。
また、生活援助は認知症の人らの重度化を防ぐ面もあるため、サービス量が減れば家族の負担が増えるケースも見込まれ、政府が掲げる「介護離職ゼロ」目標と矛盾するという見方もある。
さらに改定案では、生活援助を担うヘルパーの資格要件を緩和。事業者報酬は抑えられるため、ヘルパーの賃金も引き続き低水準にとどまることとなり、十分な人材が集まるかは不透明。資格要件の緩和についても不安視されており、ヘルパーの質が確保できるかも注視されている。