2015年度の高齢者への虐待件数は、前年度比2.2%増の1万6,384件だったことが厚生労働省の調査で分かった。家族らによる虐待が1万5,976件と大半を占めたが、介護施設の職員による虐待が36.0%増の408件と過去最高を更新。調査を開始した06年度から9年連続で増えている。厚労省は相談や通報の件数が増えたことが要因と分析している。
調査によると、虐待による死亡者は21名。うち20名は家族らの虐待によるものだが、1人は施設職員による虐待で死亡したケースで、これは調査開始以来初めてのこと。
職員による虐待を要因(複数回答)別にみると、業務への理解不足など「教育・知識・介護技術等に関する問題」が65.6%と最も多く、「ストレスや感情コントロールの問題」が26.9%で2番目に多かった。
家族らによる虐待の要因(同)では「介護疲れ・ストレス」が25.0%で最多。次いで、介護する家族らが認知症を患うといった「障害・疾病」(23.1%)などだった。
厚労省は調査結果を踏まえ、施設での研修に職員のストレス対策を盛り込むなどの対策強化を、近く自治体に要請する。
調査は、高齢者虐待防止法に基づき毎年度実施。地方自治体が通報や相談を受け、虐待と判断した事例を集計した。