公正取引委員会は、介護サービスの実態に関する報告書をまとめた。特別養護老人ホーム(特養)運営への参入規制については「医療法人、株式会社などが社会福祉法人と対等の立場で参入できるようにすることが望ましい」と提言。介護分野の競争を促し、サービスの供給量を増やすほか、質や利用者の利便性を向上させることを狙いとしている。
記者会見では「新規参入の障壁が高いため、需要を満たすような供給がなされてない」と述べ、今後は厚生労働省などの関係官庁との協議や近く発足する規制改革推進会議で説明していく考えだ。
特養は、比較的少ない費用負担で常時介護が必要な高齢者が入居できる施設。開設主体は社会福祉法人や地方公共団体などに限定されている。その理由としては、株式会社の場合は倒産で撤退する懸念があるほか、特養への入所要件が要介護度の高い高齢者に絞られており、公的性格が強いことなどが挙げられている。
しかし、公取委は「株式会社などであることをもって排除する合理性・必要性は乏しい」と指摘。医療法人から段階的に認めていくことも含め、株式会社を参入させるよう求めた。
併せて、社会福祉法人と公平な条件下で競争できるよう、自治体独自の補助制度や税制上の優遇措置の見直しも提言した。