社会保障審議会介護保険部会は、介護サービスの利用者負担の拡大に向けた議論を始めた。サービス費は原則1割負担で、一定以上の所得があった場合は2割負担だが、介護保険制度維持のため、2割負担の対象者を拡大するかどうかが焦点。年末までに結論を出した上で、2018年度の介護保険制度改正に反映させる。
高齢化に伴い介護費用は年々膨らんでおり、16年度は約10兆円と、00年度の制度創設時に比べ約3倍に達する見込み。前回の15年度改正で、65歳以上の第1号被保険者のうち、年金収入で280万円以上の年収がある単身高齢者らを対象に2割負担を導入したが、制度の先行きを懸念する声もある。
この日は、経済力に応じて負担を増やす方向に理解を示す意見が目立ち、利用料が高額となった場合、自己負担額に上限を設ける「高額介護サービス費」についても現在の基準を引き上げるべきだとの意見が出た。一方、「必要なサービスの利用を遠ざければ、利用者の症状が悪化する」との慎重論もあった。
また、40~64歳の第2号被保険者が医療保険を通じて支払う保険料(労使折半)の見直しも協議。加入者数に応じた方式から給与水準に応じた負担方式への見直しが議論されたが、企業の負担増を懸念する経済団体が反対した。