厚生労働省の有識者研究会は、働く人が介護休業を取りやすくするため、条件を緩和すべきだとした報告書案をまとめた。家族の要介護度が「要介護1」と低い場合でも一定の介助が必要なら介護休業を取得できるようにする。約3%にとどまる取得率を引き上げ、年間10万人の介護離職者をゼロにすることを目指す。月内にも通達を改正し、2017年1月に施行する。
要介護1は、今年4月末で約122万人が認定されており、要支援・要介護の7区分の中で最も多いという。介護休業は、父母や配偶者など家族に2週間以上の介護が必要な場合、1人につき最長93日間取得できる。従来は要介護1より重い「要介護2から3程度」に該当する場合に取得できたが、介護保険制度の認定条件と異なるため、分かりにくかった。今後は「要介護2以上」なら取得できると明確化する。
従来の介護休業の取得判定基準は、約30年前の特別養護老人ホームへの入所条件を参考にしており、厳しかった。厚労省は今回、在宅介護が主流となっている現状を踏まえ、基準を見直す。歩行や排せつなど12項目を設け、全面的な介助が必要な項目が1つ以上か、一部介助が必要な項目が2つ以上あれば、家族が要介護1でも介護休業を取れるようにする。
これにより厚労省は「要介護1でも介護休業を取得できるケースが増える」とみている。また介護休業について、厚労省は8月から休業中の給付金を休業前賃金の40%から67%に増額し、来年1月からは最大3回の分割を認める。