中央社会保険医療協議会は、診療報酬の2016年度改定案を厚労相に答申した。超高齢化社会に備え、地域医療を充実させることが狙いで、患者に身近な「かかりつけ医」や「かかりつけ薬局」への報酬を手厚くしたのが特徴。
高齢者が住み慣れた地域で医療サービスを受けられる体制を整備するため、患者の健康状態や服薬状況を管理するなど、医師や薬剤師のかかりつけ機能を強化。また医療機関の病床は、重症患者向けの要件を厳格化し、高齢化で増える慢性期の患者を受け入れる病床への再編を誘導する。
かかりつけ医については、糖尿病などを併発する認知症患者のケアなどへの評価を新設。がんの診療や緩和ケアに取り組む地域の病院への報酬を増やした。
高度な医療を提供する全国240ヶ所程度の大病院を対象に、紹介状なしで受診した患者から窓口負担(1~3割)とは別の特別料金徴収を義務付け、軽症の場合は、かかりつけ医を受診するよう促す。徴収する額は病院側が設定。初診時5,000円(歯科3,000円)、再診時2,500円(同1,500円)を最低額とする。なお救急搬送の患者などは対象外。
かかりつけ薬局の普及に向けて調剤報酬は大幅に見直す。患者が選んだ薬剤師による服薬指導への報酬を増額するなど、薬の飲み残しや重複投与を減らす取り組みを広げる。これに対し、大手チェーン薬局をはじめ、特定病院の処方箋を扱うだけの大型「門前薬局」への報酬は減らす。また、安価な後発医薬品(ジェネリック)の価格を新薬の原則6割から同5割に下げるなど、医薬品価格を適正化することで医療費抑制につなげる。
16年度改定をめぐっては、政府が年末に全体の改定率をマイナス0.84%と決定。これを受け、中医協が医療行為ごとの配分を議論してきた。