財務省が開いた財政制度等審議会では、社会保障関係費の抑制策を提出。2015年度予算の31.5兆円と比べ、20年度には3.5兆~4兆円の増加にとどめる必要があると強調している。
政府は、20年度の国・地方の基礎的財政収支黒字化に向け、財政健全化計画を夏までに策定。20年度における黒字化達成には、内閣府試算の9.4兆円の赤字を埋める必要があり、この政策経費の4割を占める社会保障の抑制が不可欠としている。財政審は抑制策の計画への反映を目指す。
20年度増加分予算の内訳は、高齢化進行に伴うものが2兆強~2.5兆円、消費税率10%への引き上げに伴う充実分が1.5兆円。同省は、これ以外の新たな医薬品や最新診療機器の開発・普及に伴う「医療の高度化」などの費用を抑制対象にすべきだとしている。
具体策としては、医療費が現在1割負担の75歳以上の後期高齢者の窓口負担割合を、19年度以降は原則として2割にする案を提示。65歳への引き上げが進む年金の支給開始年齢も、さらに上げる必要性を指摘した。
さらに、医療保険などの給付を効率化する策としては、先発医薬品(新薬)と効能が同等で価格が安い後発医薬品の使用割合を現行の「17年度中に60%」から17年度中に80%と、目標値を改めることを明記。また、医療費の窓口負担について、外来受診時に一定額の負担増を求める必要があると指摘した。ただし、医療の高度化などの全体の抑制額は示していない。
なお、社会保障関係費の増加分は、内閣府試算では5年間で5.7兆円以上。財務省試算に比べて1.7兆~2.2兆円多いが、同省は「前提などが違う」として、単純比較できないと説明している。