2025年を見据えた病床の機能分化・連携、在宅医療・介護の推進、地域包括ケアシステムの構築など「医療・介護サービスの提供体制の改革」が急務となっている中、福祉医療機構は医療貸付、福祉貸付の貸付金利体系を見直すとともに、期間別金利の導入などを新たに実施する。
医療貸付、福祉貸付に導入する「期間別金利」は、これまで「償還期間20年以内」「20年超30年以内」の2種類の設定だったが、償還期間10年超30年以内の期間について、それぞれの償還期間に応じてきめ細かな設定ができるようにする。各法人が自らの経営状況や事業計画を踏まえて償還期間や金利水準を選択できるようにすることで、地域における福祉サービスを安定的かつ効果的に実施し、法人の事業運営の自主性や健全性を向上させる。ただし、10年以内については10年金利を適用する。
また、地域における医療・介護の総合的な確保の推進を支援するため、融資条件に優遇措置を設ける。医療貸付では「地域医療介護総合確保基金」の対象となる事業に対して、貸付限度額を所要額の90%、貸付利率を病院・診療所(基準金利)と同率とした優遇融資を実施。福祉貸付については、「地域医療介護総合確保基金」または「地域介護・福祉空間整備等施設整備費交付金」からの補助を受け、定員29人以下の特別養護老人ホームやケアハウス、小規模多機能型居宅介護事業、認知症高齢者グループホームなどを開設する社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人などが機構から融資を受ける際、通常70~80%の融資率を90%に引き上げる。
都道府県(政令市・中核市を含む)からの補助を受けた定員30人以上の特養やケアハウスなどを整備する場合も通常75~80%の融資率が90%に引き上げられる。なお、この優遇措置は25年度まで実施する。
【医療貸付】土地取得資金を除く建築資金の融資額の算定について、これまでの標準建設費(標準面積と標準単価による)を改め、所要額(建築工事費と建設監理費)に融資率を乗じる方法に見直す。病院、診療所、介護老人保健施設、指定訪問看護事業の融資率は70%、病床充足地域の通常の病院や助産所の融資率は60%で、医療従事者養成施設や土地取得資金分は従前通りの方法で算定する。
【福祉貸付】新たに放課後児童クラブの貸付けの相手方を拡充。ほかにも満3歳未満児を対象にした利用定員6人以上19人以下の小規模保育事業が、第2種社会福祉事業として法定化されることから、安心こども基金等補助金の交付が行われない整備事業であっても融資できるよう融資制度を拡充。幼保連携型認定こども園についても認可保育所と同様の融資条件を設ける。
なお、既存の社会福祉施設などの耐震化整備や津波対策としての高台移転、スプリンクラー整備、障害者自立支援基盤整備事業、アスベスト対策事業に係る融資条件の優遇措置は、本年度まで継続する。