厚生労働省は、一定以上の所得がある人の介護保険の自己負担を、現在の1割から2割に引き上げる方針を決めた。年金収入が年間280万円以上か290万円以上の人を対象とする方向で検討し、来年の通常国会に介護保険法改正案を提出。2015年度からの実施を目指す。
現行では、65歳以上の高齢者なら収入に関係なく、一律1割の自己負担で介護サービスを利用できる。しかし、高齢化に伴い、介護保険の給付費は年々増加。団塊世代が75歳以上になる25年度には、13年度の約9兆4000億円から約21兆円に膨らむ見通し。この厳しい財政状況を踏まえ、8月には政府の社会保障制度改革国民会議が、「一定以上所得のある利用者の負担は引き上げるべきだ」と提言していた。
同省が検討している基準は、収入から公的年金等控除などを差し引いて算出される所得が、『年間160万円以上』と『年間170万円以上』の2案。公的年金等控除は最低120万円のため、収入ベースでは年金収入だけなら年間280万円以上か290万円以上となる。これは、高齢者全体の2割程度が該当する水準。
厚労省は2案について「ある程度の所得以上で、負担が可能とみられる層を対象に検討した」と説明している。