厚労省は、特別養護老人ホームとリハビリなどを提供する老人保健施設に入所する低所得者に食費と部屋代を補助する、「補足給付」制度の要件の見直しを行う方針を固めた。
現行の補足給付制度は、特養などに入所する高齢者のうち、(1)生活保護受給者(2)年金収入が年80万円以下(3)市町村民税非課税世帯―といった低所得者を対象に、1ヶ月の食費として最大3万2000円、部屋代として3万5000円を介護保険から支給している。
ただ、預貯金などの資産を多く持っている人でも低所得なら給付が受けられるため、政府の社会保障制度改革国民会議でも公平性を図るため、見直すべきだとの指摘が出ていた。また、食費と居住費が原則自己負担の在宅介護と施設介護との格差是正や、年々増え続ける介護保険の給付費を抑制する観点から、厚労省は補足給付制度の見直しが必要であると判断した。
制度変更では、入所の際に本人が資産を申告し、給付対象とするかどうかを判断する仕組みを導入。預貯金などの所有資産に基準額を設定し、基準額に基づき給付の可否を決めるほか、これまで判断材料に含まなかった遺族年金や障がい年金なども収入として勘案することを想定している。また、収入や金融資産が少なくても土地など不動産を持っている人には貸し付けを行い、本人の死亡後に清算する仕組みの導入についても検討する。
厚労省は、9月にも社会保障審議会介護保険部会に補足給付制度の見直し案を提出する予定。部会で給付対象や事務手続きの方法などを具体的に詰めた後、来年の次期通常国会に介護保険法改正案の提出を目指す。