総務省は、東日本大震災で被害を受けた公立病院など、地方自治体が運営する公営企業の復旧支援を目的に、地方交付税の配分を増やす特例措置を決めた。元利償還金に対して手厚い交付税配分のある地方債(災害復旧事業債)を自治体が発行して財源を調達し、復旧費に充てられる公費の割合を阪神大震災よりも拡充。国庫補助の対象となる復旧事業では元利償還金の最高95%を交付税で手当てする。公営企業側の負担を減らし、大幅な料金の引き上げを回避するのが狙いだ。
公営企業は、へき地の病院などの不採算部門を除き、利用者からの料金収入で運営するのが基本。このため施設の建設・改修については、自治体の一般会計の資金(公費)を充てられる割合が総務省の基準で定められている。だが、この仕組みを活用すると、国庫補助率が3分の2の公立病院の復旧事業では、公営企業側の負担は事業費全体の12分の1。6分の1だった阪神大震災の半分で済むこととなる。補助率80~90%の水道復旧事業における負担は4.5~9%となり、阪神の10%よりも軽減される。