厚生労働省の高齢者医療制度改革会議は、12月に新たな高齢者医療制度の最終取りまとめを大筋了承した。
会議の冒頭、細川律夫厚労相が新制度に関する法案について、今年の通常国会での提出を見送る検討を進めているとの一部報道を否定。予定通り法案提出を行う姿勢を強調し、「国対幹部と協議し、了解を得ている」と語った。
また、藤村副大臣によると、厚労省が提案した、新制度の下で多数の高齢者が加入する国保の構造的問題や運営の在り方などについて国との協議の場へ参加を呼びかける団体のうち、市長会、町村会、広域連合からは参加承諾を得ているという。厚労省は1月にも第1回の協議もしくは事務レベルのワーキンググループを開催したい意向で、「知事会にも参加いただきたい」と藤村副大臣は要請を行った。
また、副大臣は財源問題にも言及し、年金、介護と併せた社会保障について、政府・与党が今年半ばまでに「必要財源の安定的確保と財政健全化を同時に達成するための財政改革」を打ち出すことを念頭に、「逃げないで議論していく」と述べた。
新制度では、75歳以上の高齢者も被用者あるいは被扶養者は被用者保険に、それ以外は国保に加入する。現役世代と同じ制度に加入して年齢による区別の解消を図る。
国保の財源運営については、財政基盤の安定化や高齢者間の保険料格差を防止するため、第一段階として2013年を目標に75歳以上の部分に関して都道府県単位とする。5年度の第二段階(2018年)には、全国一律に全年齢での国保の都道府県単位化を図るとしている。
現役世代の保険料による高齢者医療への支援金に関する被用者保険者間の按分方法は、すべて総報酬割による決定へとあらためる。
また、70~74歳まで1割となっている窓口負担については、新制度の施行日以降に70歳に達する高齢者から順次2割負担とする意向。
財源に関しては、「国費をはじめとする公費の拡充を図るべきことは本改革会議の意見の大勢」との認識を示し、「現在、政府与党において社会保障・税の一体改革の議論が進められているところ、医療保険制度の財源の在り方については、その議論の方向性に対応したものとする必要がある」との文言が盛り込まれた。