CASE5
産業を支える「耐食」のコア技術 働く環境に配慮し、高い技術力を育む新工場
建設地 | 兵庫県加古郡 |
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建物用途 | 工場・倉庫・事務所 |
敷地面積 | 2,300m2(695.75坪) |
延床面積 | 3,397m2(1,027.59坪) |
竣工 | 2021年5月 |
建物概要 | 3階建て |
1952年の創業以来、一貫して“プラスチックの持つ優秀な耐食性”にこだわってきたのがセイコー化工機株式会社様。その高い技術によってつくり出されるのは、さまざまな条件や環境の下で稼働する耐食ポンプや送風機、スクラバー(排ガス処理装置)などの製品です。主に工場や研究施設、大学、下水処理施設等に導入されその技術を認められています。同社では、ポンプに高耐食のフッ素樹脂、送風機・スクラバーに軽量かつ高強度のFRP(ガラス繊維強化プラスチック)を主材料として採用。「材料に革命を起こした耐食分野のパイオニア」として業界内で広く知られています。
経営の効率化を目的に、あらゆる分野でアウトソーシング化を図る企業が多い中、セイコー化工機様では自社の総合的な技術力向上や独自ノウハウの習得、コスト力・対応力強化のため、内製化の推進に取り組まれています。この目的達成のために進めているのが、研究開発や製造拠点の充実化計画。第一弾は、スクラバーおよび脱臭装置などの環境装置を製造する「播磨工場」の建設です。
新工場は、本社・本社工場と同じ工業団地内に、2021年5月完成。1階部分に工場、2・3階には倉庫と事務所スペースを配置した建物は、作業効率を考慮し、天井高などの空間設計に工夫が凝らされています。さらに、“社員が働きがいと働きやすさを両立させる環境の創造”をもう一つの建設テーマに掲げ、オープンな空間で仕事のスタイルが自由に選べるコワーキングスペースの採用や、カフェテリアスペースなどを設けています。
“働きがいと働きやすさを両立させる”新たな環境づくりが実現しました。
セイコー化工機株式会社 代表取締役社長 中川 祥示 様
鉄製が主流であったかつてのポンプは、化学系の薬液を送ると腐食(錆び・酸化)が発生するため、優れた耐食性能が求められており、送風や排ガスなどの排出・処理分野でも、耐食が問題となっていました。このような課題を解決したのが、当社が供給する自社ブランド「TEXEL(テクセル)」の耐蝕ポンプと耐蝕送風機、スクラバーです。
昨今、環境配慮の面から脱臭装置に対してのニーズが広がりを見せています。当社では、スクラバーと脱臭装置を『環境装置』と位置づけ、多種多様な臭気を、低濃度から高濃度まで、その発生源に的確に対応して除去するシステムを提供。環境保全だけでなく、作業環境の観点からもお客様のご要望に応えています。
こうした環境装置の新たな製造拠点として計画したのが播磨工場。当初は、本社・本社工場と同じ敷地内にある既存施設の建て替えを計画していましたが、最善策を検討する中、縁があって、同じ工業団地内の建築地を紹介していただきました。完成した工場も、新たな試みだった“働きやすい環境づくり”がしっかりと具現化されていて、その出来栄えに社員共々非常に満足しています。
当社では、2009年より本格的な海外展開に着手。中国の製造工場に次いで、ベトナム、アメリカ・テキサス州ヒューストンに営業・製造拠点を設置しており、現在では耐蝕ポンプを中心に好評を得ています。今後は、東南アジア市場への適応が求められるでしょう。そのため、ベトナムのロンドウック工業団地内のレンタル工場に入居しています。 私たちの目標は、世界に通用する技術とコスト力を持つ、〝グローバルニッチな中堅企業〞。これからもお客様とともに成長を続けていきます。
※セイコー化工機様では製品名に「耐蝕」、その他の表記・表現に対しては「耐食」の表記を使用されているため、本記事もそれに準じております。