育児と仕事の両立を目指し、
時短勤務を選択
菊地 直(キクチ ナオシ)
妻、長男(8才)、次男(1才10カ月)、長女(生まれたばかり) ※取材当時
大和ハウス工業 両毛支店集合住宅設計課
1999年入社。横浜支店集合住宅設計課、横浜北支店集合住宅設計課を経て、現在は、両毛支店集合住宅設計課所属、主任。
長女の出産で妻が入院することになり、実家が離れているため、急な事態で頼れる先も身近に無い、そのことが出産・育児短時間勤務制度(以下、時短勤務)を取得した主な理由です。
「子どもと接することができるのは今しかないよ。仕事が一番ではないよ」と言ってくれた、知人の言葉が後押しになりました。制度取得前は、「全力で仕事に取り組めないのでは?」という不安がありましたが、予想していたほど仕事に支障がないことがわかりました。何事も体験してみなければわからないというわけです。
利用した育児支援制度
- 出産・育児短時間勤務制度 … 子が小学校3年生になるまで短時間勤務ができる制度
- ハローパパ・ママ … 育児休業開始日から当初5日間を有給化し、特に短期間の取得が想定される男性従業員の育児休業取得を促す制度
- 次世代育成一時金制度 … 子1人に対して100万円を支給する制度
育児と仕事を両立、17時退社を大決断!
菊地は、第1子が生まれて初めて、会社の育児支援制度についての詳細を知ったそうです。子育てに関しては、「初めてなのだからわからなくて当然」と、不安よりも楽しみのほうが大きかったと言います。ただ、仕事に関しては、「子どもの病気などで突然休むことになったら、どうなるのだろう?」と、漠然とした不安を抱いていました。
妻は、育児休業を取得することを望んでいました。しかし、部署のメンバー全員が日々遅くまで業務に励んでいるなか、自分だけ休業を取るのは申し訳ないという気持ちがありました。いざというときになって、自分で自分にブレーキをかけてしまう。よくあるケースです。会社の育児支援制度がどんなに整っていても、男性自身が意識を変え、制度を積極的に活用していく行動力がなければ父親による育児は進みません。
こんなとき、夫婦での話し合いはもちろんですが、職場の上司や同僚に子育てと仕事の両立に関する不安を正直に伝えることが重要なポイントになります。他人事ではなく我が事として一緒に考えてもらう環境づくりが、育児に取り組む男性社員の追い風となってくれるはずです。
知人の言葉も大きかったと言います。「子どもと深く接することができるのは今しかないんだから、仕事がいちばんではないよ」。子育て経験者ならではのアドバイスが、二の足を踏んでいた菊地の背中を押してくれたのです。
結局、時短勤務を利用することにしました。妻と会社双方にかける負担を最小限にとどめながら、育児と仕事を両立できるのではないかと考えたからです。時差出勤も検討しましたが、時間が足りず家事をこなせそうにないという理由で候補から外したそうです。
育児は今しかできない、自分に出来ることを全力投球
時短勤務に入る前に、一日のスケジュールをシミュレーションして実践に備えました。時短勤務に入って以降も、前日に業務スケジュールを確認し、一日の仕事の手順をイメージするようにしました。
残業しなくなった分、当然一日にこなせる業務量は減りましたが、このイメージングのおかげで、業務を効率的に選択し、スピーディに進めることができるようになったと言います。もちろん、毎日うまくいくとは限りません。時間内に仕事を終えることができず、後ろ髪を引かれる思いで会社を後にする日もありました。
そんな日でも、帰宅して子どもの顔を見たとたん、仕事のことは忘れることができました。時短勤務を取得して一番よかったことは、「子どもと接する時間が増えたこと」だそうです。時短勤務によって、長男(8才)と次男(1才10カ月)との距離はグッと縮まったのです。
イクボス宣言―育児支援制度利用でワークライフバランスを向上
育児をサポートしてくれる実家が近くにない共働き夫婦にとって、会社の育児支援制度は不可欠です。菊地の場合も、もしも時短勤務という選択肢がなかったら、お手上げだったと言います。職場では、多くの女性社員が時短勤務で活躍しています。知識やスキルを拡げている彼女たちに学ぶことも多いそうです。
時短勤務のほか、妻が出産のために入院中、菊地は、ハローパパ・ママを利用して、長男・次男の面倒をみました。3児の父親としてできるかぎりの子育てに努めるとともに、多くの経験や工夫を周りに伝えて、先導していくことも自分の役割であると言います。
※「イクボス」の定義:職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のこと(対象は男性管理職に限らず、増えるであろう女性管理職も)。NPOファザーリングジャパン HPより(2016.12.26)
子どもが3人いて、常に手が足りない状態。学校の行事や、自分の病気など、予測しなかったことが起き、家事はたまる一方です。
育児休業を取ることは
父親としての使命と考えていた
祖父江 伊吹(ソブエ イブキ)
妻、長男(7カ月) ※取材当時
大和ハウス工業 本社技術本部環境企画・マーケティンググループ
1994年入社。情報システム部を経て、2006年からは環境部所属、主任。現在子ども2人。
男性の育児休業取得率の低さが話題になっていた頃から、「自分が先陣を切って、新しい生き方を実践してみせよう」と、意気込んでいました。実際に育児休業を体験して、少し考え方が変わりました。
育児は子どもや妻のためだけではなく、自分のためでもあるということ。育児休業を通して、自分の人生に自信が持てるようになりました。
利用した育児支援制度
- 育児休業制度 … 子が3歳になるまでの期間に休業できる制度。
- ハローパパ・ママ … 育児休業開始日から当初5日間を有給化し、特に短期間の取得が想定される男性従業員の育児休業取得を促す制度
- 出産・育児短時間勤務制度 … 子が小学校3年生になるまで短時間勤務ができる制度。
- 次世代育成一時金制度 … 子1人に対して100万円を支給する制度
このほか、育休前後を乗り切るために、「ホームホリデー制度」(家庭と過ごす時間や自身のリフレッシュ、自己啓発などを目的として年次有給休暇を計画的に取得できる制度)も活用しました。
生後7カ月目から4カ月間の育児休業を取得
育児休業を取得することに抵抗感はまったくなく、むしろ、父親としての「使命」と考えていたそうです。ちなみに妻には、結婚する前から育児休業を取ると宣言していました。また、職場では、早い段階から公言していたこともあり、周りの反応は好意的で、仕事の引き継ぎもスムーズにできました。
育児休業に入ったのは、子どもがハイハイを始めた7カ月目の頃。産院を退院してきた直後の1週間、有給休暇やホームホリデー制度、ハローパパ・ママを活用して子どもと深くかかわった経験がお試し期間のような役割を果たし、それほど気負うこともなく子育て生活に入っていけました。
「生れたばかりの子どもを抱っこしたときは、正直言って、父親になった実感はわきませんでした。退院後の1週間、小さいながらもいろいろな表情を見せる子どもと24時間一緒にいて、ようやく我が子に対する愛情と、子育ての大変さを実感することができました」
育児に没頭した日々は、かけがえのない人生経験
当初は、可能な限り長く育児休業を取得する予定でした。しかし、保育園への入園日の都合で、結果的には4カ月間で終了しました。「短期間の休暇では、育児の本当の辛さ・大変さはわからないと思う」と、祖父江は言います。それでも、育児に没頭した4カ月間は、かけがえのない日々となったようです。
また、保育園のこと、病院や予防接種のこと、我が子の服や靴のサイズまで、その後も育児に関心を持ち続けることができているのは、育児休業を通して親としての責任や覚悟が自然に培われたからではないかとも言います。
育児休業の経験が、自分に自信を与えてくれた
もちろん、育休が終わったからといって育児が終わったわけではありません。時短勤務や家族の看護休暇などの支援制度を利用しながら、育児と仕事を両立させるための奮闘は続いています。
そんななかで祖父江が編み出した生活の知恵が、「前向きに諦める」。うまくいかないことがあってもグズグズ引きずらず、早めに切り替えてとりあえず前へ進む。子育てしながら自然に身についたこうした考え方の変化が、仕事のスピードアップや効率アップにもつながっているようです。
育児休業は子育て支援の役割を超えて、ときには人の考え方や生き方に影響を与えることもあるようです。育児休業を経験することで、祖父江は、「自分の人生に自信が持てるようになった」と言います。
「育児は参加するものではないと考えています。仕事に責任があるのと同様に、育児にも責任があります。決して母親にだけ責任を押し付けてはいけません」
夫婦どちらか一方に育児・家事が偏らないよう、分担の内容を1週間毎に交代しました。交互に外出もでき、一人になれる時間もあり、ストレスを溜めすぎることはありませんでした。
大和ハウス工業は、サステナブルな働き方を提案するGoogle Women Will
#HappyBackToWorkに賛同しています。
Google Women Will #HappyBackToWorkとは、みんなが働きやすい社会を目指すソーシャル・キャンペーンで、出産などを機にさまざまな理由で女性が仕事をやめてしまう状況を改善するため、家族・上司・同僚・会社の人事・地域社会など、女性の周辺の様々な立場の人ができる「女性が働きやすくなる」アイディアを集め、サポーター企業・団体と共に実践の輪を広げていく取り組みです。
大和ハウス工業でも、女性、シニア層、障がい者、外国人を含めた多様な人財が活躍できる企業風土を醸成し、一人ひとりが誇りとやりがいを持てるサステナブルな企業を目指しています。その一環として、女性の少ない部門・職種に女性を積極的に配置したり、男性の育休取得促進を図るなど、性別役割分担意識を払拭するための活動を多岐にわたり展開しています。
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※ 記事内容および社員の所属は取材当時のものです。