シェアサービス利用時のチェックポイント!
~シェアリングエコノミー伝道師 石山アンジュさん~
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2018.03.20
利用者の声や認証マークが安心安全の目安に
―― シェアサービスは人とのつながりや信頼を基盤としたプラットフォームなのですね。ただ、一方で、初めて利用するときには不安に思うこともありそうです。
シェアサービスの多くは、取引の主体はあくまで個人と個人であり、事業者はそのマッチングサービスを提供して手数料を得るビジネスモデルになっています。ですので、事業者はサービスのクオリティを担保することはできません。
そこで、そのサービスを安心して利用できるかどうかの目安の1つになるのが、レビューシステムです。例えば民泊サービスには、部屋を借りて宿泊したゲストがホストやその部屋を評価し、感想などを書き込むレビュー欄があります。そのレビューでゲストの声を確認してみると、利用するときの参考になります。
初めてシェアサービスを利用するときは、不安になることもあるだろう。そんなときは過去の利用者の「レビュー」が参考になる。
また、シェアリングエコノミー協会では、利用者が安心して利用できるための取り組みを行っています。内閣官房IT総合戦略室が策定したモデルガイドラインに基づいて、適合していると認められた事業者のサービスに対して、シェアリングエコノミー協会が認証マークを付与しています。
将来的には国際標準化も視野に入れていますが、現在は国内に本拠を置くシェアサービスが認証マークを取得しています。初めての方は、こうした認証済みサービスから利用してみると安心できるのではないでしょうか。
シェアリングエコノミー認証マーク
―― 最後に、サステナブルな社会をつくるためにシェアリングエコノミーが果たす役割について、お聞かせください。
日本は物質的には豊かな国ですが、若い「ミレニアル世代」を中心に「なんとなく不安」「なんとなく孤独」という思いを持つ人が増えているとも感じます。その要因の1つは、人間関係が希薄になっていることではないでしょうか。そんな状況で信じられるものは何かというと、家族や友人、さらにその枠を超えたコミュニティとのつながりだと思います。
シェアリングエコノミーは新たな「つながり」を作る基盤となる可能性があると思います。シェアリングエコノミーが浸透し、地域や全国、世界中に広がっていけば、天災などで供給がいきなりストップしてしまうような事態でも、助け合えるという安心感を持てるようになっていくと思います。
同時に日本は今、人口減少による地方の過疎化や、高齢化による若者の社会負担増などさまざまな課題も抱えています。実際、地方では企業の資本の力が行き届かなかったり、財政難で行政の公助サービスが “機能不全”に陥ったりといったことが起きていて、地域の暮らしの持続性が危ぶまれています。シェアサービスの活用で、地域での助け合いが循環すれば、持続可能な暮らしを支えていくことができます。
石山さんが参画している生活共同体「Cift」も新たな「つながり」のトライアルだといえる。「Cift」はクリエイターの生活共同体の名称であり、約40人の参加者が1つの法人組織を形成している。個々人は組合として受託したプロジェクトに、自分のスキルを生かして参加。報酬はコミュニティの口座で管理するなどの取り組みが行われている。
シェアリングエコノミーによって、「助け合い」の輪を広げていくことが、サステナブルな社会や暮らしを作っていくことにもつながるはずです。