「レイクタウン美環の杜」(埼玉県越谷市)※分譲済み豊かな緑とコミュニティを育む街
「レイクタウン美環の杜(みわのもり)」は埼玉県越谷市にある、建設から10年経った分譲住宅地です。時を経て、緑豊かに成熟した街並みをご紹介します。
概要
越谷レイクタウンは、UR都市機構が計画面積225.6ha、計画人口22,400人のニュータウンとして整備しました。この辺りは、古くより『水郷こしがや』と呼ばれ、水田が広がる田園地帯でした。しかし、頻繁に洪水に悩まされていたため、治水対策として約40haの調節池(大相模調節池)の建設や市街地を整備。その後、2008年4月に「越谷レイクタウン」の街びらきが行われました。越谷レイクタウンの中にある当社戸建分譲住宅地「レイクタウン美環の杜」は、自然の力を活用するパッシブデザインを取り入れ、多くの緑が植えられました。10年という長い年月を経て緑豊かに成熟した街では、緑を通じて住まい手同士の交流が活性化するとともに、鳥や昆虫、植物などさまざまな生物が育まれています。
■分譲住宅概要
- 所在地
- 埼玉県越谷市レイクタウン九丁目JR武蔵野線越谷レイクタウン駅
- 開発面積
- 32,585.73㎡(9,857.18坪)
- 戸数
- 132戸(他に集会所1戸)
開発前の越谷レイクタウン
提供:国土地理院
この地域一帯は、元荒川や中川、綾瀬川といった多くの川が流れ、広大な水田が広がり、水辺で暮らす鳥たちがたくさん暮らしていました。また、遠く外国から長旅をしてくる渡り鳥たちの休息地でもあり、鳥たちが安心して暮らせる環境を残したいと考えました。
1. デザインコンセプト
「レイクタウン美環の杜」は、越谷市の「環境共生先導都市」のモデル街区に位置づけられています。レイクにつながるキャナル(水路)からの影響を大きくうける立地のため、環境シミュレーションで熱や風を解析し、自然を積極的に取り込んだ「パッシブデザイン」で街づくりが行われました。
夏は、キャナル(水路)からの風を街に取り入れる工夫や、緑化による冷却効果や緑陰による涼しい街路空間を創出しました。また、冬には、北西からの冷たい風を遮る高垣や、落葉広葉樹の落葉によって陽射しが地面に届くなどの工夫がされています。また、電線を地中埋設にすることにより、電線で緑の成長を邪魔することもなく、景観にも配慮しています。
2.緑豊かに成熟した街並み
緑豊かに育った街並み
左上:ミツバチ 左下:ムクドリ
右:各家庭の庭に設置されたバードバス
多孔質で小動物が住みやすい蛇籠
街のシンボルツリー(エノキ)
緑が気持ちの良い小路
「レイクタウン美環の杜」の植栽は、アオハダやヤマボウシ、ソヨゴなど越谷の在来種を中心に構成されています。そうすることで、この地に元々生息している野鳥や昆虫類が住みやすくなります。また、街のさまざまな場所に小動物が好む隙間のある蛇籠(じゃかご)や小鳥が水浴びできるバードバスなどを設置し、住み付きやすくなる工夫をしています。さらに、樹木は冬に葉を落とし、落ち葉がたい肥となり若い植物を育てます。このように、この街の動植物は、生態系のサイクルの中でお互いを必要としながら生きています。
建設当初まばらだった緑も豊かに育ち、その緑が作った日陰がたくさんあります。木陰のベンチに腰を下ろして一休みしたり、子どもを遊ばせたり、ご近所の方とお話をしたりと、街の人たちも自然と木の周りに集まるようになり、コミュニティの活性化につながっています。
2008年竣工当時の高垣
2018年現在の高垣
3.植栽の管理について
植栽管理についての話し合いも行われる集会所
植栽のお手入れ講座の様子
豊かな緑を維持していくには適切な管理が欠かせません。「レイクタウン美環の杜管理組合」は、街のために植えられた緑を守っていくことを主目的として設⽴されました。高垣やシンボルツリーのエノキなど、公共性が高い植栽は管理費で維持管理されています。
その他の植栽は、竣工後3年は植栽業者が定期的にメンテナンスを行ってきました。あわせて、植栽の専門家を招いて植栽講座を開き、住まい手の方々に楽しみながら木々に触れていただくことで、まずは自宅の庭木に親しむところから始めました。今では、個人で自宅の植栽を手入れされている方や、専門業者に委託されている方などいろいろですが、植栽講座の内容は日々のお手入れに活かされています。
さらに、将来を見据えた植栽管理のスケジュールと明確な役割分担で、街の皆さんの緑への愛情が高まるとともに、緑も含めた街の資産価値を認めておられるため、適切な管理が継続して行われています。
4.お客様の声
■板川様
レイクタウン美環の杜に来てから、朝早く起きて街の中の水辺や緑、花などを見ながら気持ちよく散歩することが習慣になりました。部屋の中から外を見ると、まるで森の中にいるような気分になります。ご近所同士、街角の木陰で四季折々の話をしたり、お互いの庭に咲いている花を株分けして交換したりと、緑を介したお付き合いが盛んです。
緑を維持していくことは、お金はかかりますが、街を育てていくためにはとても大切な要素です。街を育てようという気持ちが大切なのだと思います。
緑に包まれたご自宅
ご自宅の中から見た風景
■磯野様・高橋様親子
レイクタウンが開発される前の大草原を見て、何もないこの場所に街を創り出すなんてすごい!と感銘を受け、この場所に住むことを決めました。引越しを機に飼った犬と、緑の気持ちいい安全な道を散歩しながら、たくさんの野鳥を見られるのも嬉しいです。もともと花を育てる事が好きで、前に住んでいた家からバラを移植しました。見事に咲いたバラを囲んで、ご近所の方と一緒にバラパーティーを開いたこともあります。とても楽しい時間を過ごしました。今年は10年目を機に、庭の大改造を大和ハウス工業に頼んでおり、完成をとても楽しみにしています。
バラの咲くお庭
散水には雨水タンクを活用
開発担当の声
環境共生先導都市のモデル街区という命題を実現するため、悩みながら街を設計しました。その街が今も高く評価されているのは、ご入居者の皆様のおかげです。
「パッシブデザイン」を深く理解され、木々の一本一本に役割を感じ、それらを大切に思われたからこそ、ここまで育てていただけたのだと思います。「レイクタウン美環の杜」は10年の年月を経て、ご入居者の皆様のお力で大和ハウス工業を代表するまちにしていただきました。今後も「レイクタウン美環の杜」を50年後、100年後も住みたいと思えるまちにするため、微力ながら私もお手伝いできればと思います。
大和ハウス工業
東京本社住宅事業推進部
井野善久
管理担当の声
「レイクタウン美環の杜」には、景観を維持するために「街づくりガイドライン」があり、お住まいの皆様が街並みを意識して、お庭の手入れをされています。このようなルールとお住まいの皆様の高い意識があるからこそ、管理組合設立から10年を迎えても、美しいままの街並みが形成されていると感じています。理事会の役員様・植栽業者様と協力し、この景観を今後も末永く維持していきたいと思います。
大和ライフネクスト
東日本マンション事業部
谷田部駿