久慈琥珀博物館
手のひらに乗せた化石は恐竜時代からの使者。
「久慈琥珀博物館」へ行くことが決まった日からワクワクしていた。今年に入って、博物館の採掘現場でカマキリ入り琥珀や、カメの化石が見つかったと報道されていたからだ。
ここは、日本で唯一の琥珀専門博物館である。新館に入ると、巨大な卵形カプセルに目を奪われた。内側には、小さな琥珀がびっしりと貼付けられていて、夕暮れ時のような色をしている。
「ブランデーの色を琥珀色と言ったりしますが、実は琥珀の色は250色以上もあります」
佐々木和久館長が指差したケースには、黄色や茶色のほかに、乳白色や緑色の琥珀もある。
「中国では赤い琥珀を『龍血』と呼んだのですよ」
佐々木館長の話は、さらに興味深いものへと続いた。
「映画『ジュラシックパーク』の中で、恐竜復活の鍵となったのが,虫入り琥珀だったでしょう」
久慈の琥珀は、8500万年前(恐竜時代)のもので、世界的にも古い。目の前にある琥珀に封じ込められた昆虫や葉、空気や水は、その時代に存在していたのだ。琥珀は化石であり、宝石であり、タイムカプセルでもある……。そう実感した途端、想像が膨らみ、琥珀から目が離せなくなった。
rakra2008年9月号掲載
2008年8月頃撮影
【学芸員さんのナルホド情報】琥珀は、数千万年前から数億年前の樹木の樹脂が化石化したもの。同じ大きさでも、琥珀は軽くて温かく、石は重くて冷たい。どれくらい違うかは、博物館で確かめよう。ほんのり温かい琥珀を見ていると、心も温かくなるかも。
久慈琥珀博物館
岩手県久慈市小久慈町19-156-133
TEL 0194-59-3831
開館時間/9:00~17:00
冬期閉館 2月25日~02月末日
ロイヤルシティ八幡平リゾートより約101km
琥珀は樹脂の化石でもある。樹脂というと松ヤニを連想するが、久慈琥珀の場合は杉ヤニ。虫入り琥珀も多く産出している。珍しいものでは、シロアリと気泡が入った水を閉じ込めた琥珀も。館内では琥珀にまつわる歴史や伝説などの情報も得ることができる。昔は燃やして虫除けにしていたという話もあり、ちょっと驚き。琥珀採掘体験や勾玉作りなどの体験プログラムもある(料金などは要問い合わせ)。