鶴の名湯 温湯温泉
「客舎」を生んだ、名湯の共同浴場
黒石市街地から十和田湖方面に車で約10分。黒石温泉郷西の玄関口にあるのが、400年の歴史を誇る「鶴の名湯・温湯温泉」だ。
温泉街の真ん中には、町内会で営む共同浴場があり、早朝は温泉ファン、昼間は観光客、夜は地元客で賑わっている。
無色透明のやさしい温泉は、脳卒中や冷え性に効果的といわれ「じんわり体に効いてくるんだよ。地元になくてはならない宝物」と近所のおばあちゃん。
大きな共同浴場のまわりには、温泉を囲むように客舎や旅館が点在し、どこか懐かしい風情を醸し出している。
「明治時代、泉質の良さが口コミで広まり、他所から来た人を空き部屋に泊めたのが客舎の始まり。昭和30年(1955)頃は、農繁期が終わると大勢の人が訪れたものです」と、温湯町内会長で飯塚旅館を営む飯塚重一さんは話す。
時は移り、自炊の客舎から旅館に姿を変えつつも、温泉街のあったかい雰囲気が、今も静かに残る温湯温泉。
地域の人々にとって温泉は、暮らしの一部になっていた。
rakra2009年1月号掲載
2008年12月頃撮影
鶴の名湯 温湯温泉
青森県黒石市大字温湯字鶴泉79
TEL 0172-54-8591
入浴時間/4:00~22:30(最終受付)
不定休(年に2・3回休みあり)
入浴料金/大人200円
休憩所/無料(ホール)
駐車場/80台(3カ所)
ロイヤルシティ八幡平リゾートより約131.2km
ゆったりできる飯塚旅館の内湯。300円で入浴できる。
今から400年以上前、傷ついた一羽の鶴が葦原で湯浴みをし、傷を癒して飛び立った。それを見た地元の人が発見したという温湯温泉。見知らぬ人とも自然にあいさつしたくなる共同浴場は、平成13年に建て替えられ近代的に。温泉や客舎の回りには、長閑な風景が今も健在。