国見温泉 石塚旅館
緑色の神秘の湯と、自然の恵み
山奥のいで湯で豊かさを知る
これだけ鮮やかな緑色をした湯は、全国的にも稀だという。源泉はもともと透明だが、湯船では緑色に変わる。湯の色のイメージどおり、成分は濃厚。湯治の際には、入浴は3回で長湯は禁物、3日でひと回りが基本だとか。最初は体の悪い部分が痛みだし、それを過ぎると次第に症状が軽くなっていくという。神秘の湯を求めて遠方から訪れる温泉ファンは数多いが、足繁く通う地元の人たちもたくさんいる温泉。休憩室で横になって体を休めたり、おしゃべりに花を咲かせたりするお年寄りの姿は、湯治場ならではのほほえましい光景となっている。
泉質は含硫黄・ナトリウム・炭酸水素塩泉。源泉掛け流しの湯は、飲むことも可能だ。酸っぱさと、わずかな苦味があり、決しておいしくはないが、毎日少しずつ飲めば、胃腸にいいといわれている。
自家発電の宿だけに、過剰な設備は一切ない。けれども、優れた効能を持つ温泉をはじめ、水道の蛇口からは駒ヶ岳の湧き水、外に目をやればブナの原生林が生み出す原始の紅葉が広がる。本物の豊かさとは、こういう場所で実感できるものではないだろうか。
rakra2007年10月掲載
2007年9月頃撮影
国見温泉 石塚旅館
岩手県岩手郡雫石町橋場
TEL 090-3362-9139(衛生電話)
・日帰り入浴時間/10:00~16:00(湯の入れ換え時は不可)
蛇口をひねれば、流れてくるのは駒ヶ岳の湧き水。約9度の冷たい水を飲み干し、思わず「おいしい!」と声をあげる。
駒ヶ岳の湧き水をスープに用いた「国見ラーメン(500円)」は、食堂(11:00~12:30)で提供している。宿を守る人たちのあたたかいもてなしに心が和む。
旅館部の玄関。自炊部も3部ある。