大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

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暮森 KURASU MORI

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大人がはまる北東北

a slowly dish

津軽地方の餅菓子「うんぺい」は廃藩時代に京都から伝わったもの。弘前市の「甘栄堂」では風味や食感を工夫しながら時代とともに愛される味を作り上げています。

「雲餅」「運餅」「雲平」とも表記される「うんぺい」は、もち米と砂糖を混ぜて練り上げた、柔らかくて素朴な味の餅菓子。同じ青森県の南部地方には、「べごもち」「べっこうもち」という似たような菓子もあります。

日常のおやつに冠婚葬祭の引き菓子に、と活躍

うずまき模様やまだら模様のかまぼこ型のものが一般的ですが、津軽地方では昔から冠婚葬祭の引き菓子に、花や木、魚などの型で作られるうんぺいを使う習慣がありました。創業120余年の弘前市の菓子店「甘栄堂」では今でも、結婚式やひな祭り用などに鯛や海老、松の形の、法事用にレンゲや菊、蓮などの形のうんぺいの注文が入るといいます。

これらの「型もの」と呼ばれるうんぺいは注文生産ですが、日常のおやつとして食べられているかまぼこ型のものは常時販売しています。

「組合に入っている菓子店は35店。昔はそのほとんどがうんぺいを作っていましたが、今、うちのように常時販売しているのは2、3店舗だと思います」とは四代目の菊地浩さん。実は菊地さんが跡を継いだ20数年前、すでにうんぺいを食べる人も、扱う菓子店も減っていて、菊地さんも「もう作るのはやめようか」と思っていました。ところがある催し物で売ったとき、年配のお客に「あら、懐かしいわ」と喜ばれたことから、作り続ける決意をしたそうです。

 同店のうんぺい(1個160円)は、「目巻き」と呼ばれる紅白のうずまき模様、白と緑のまだら模様、黒胡麻入り、赤しそ入り、青のり入りの5種類。そのうち黒胡麻入り、赤しそ入り、青のり入りの3種は、先代が「より多くの人に食べてもらえるように」と考えて作り出した、同店オリジナルです。

 菊地さんはそのスタイルを受け継ぎながら、砂糖を溶く湯をぬるま湯から熱湯に変えてなめらかな食感に仕上げるなど、舌の肥えた現代人にも受け入れられるレシピを工夫。郷土菓子の伝承を支えています。

文/赤坂環

写真/奥山淳志

rakra2008年4月号掲載

2008年3月頃掲載

甘栄堂

青森県弘前市代官町41
TEL 0172-32-1011

ロイヤルシティ八幡平リゾートより約120km

営業時間:9:00~18:30 無休

鯛と海老の形のうんぺい(各525円)は注文生産品。こうした「型もの」作りに欠かせない木型は、今では貴重品のようです。

老舗の趣がうかがえる店舗。

実は次男で、急きょ跡を継いだという菊地浩さん。「でも小さい頃から、兄よりも自分のほうが店を手伝っていましたね」と苦笑します。

作りたてのうんぺいの生地は柔らかいので、1日寝かせてから切り分けます。

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