太宰治記念館「斜陽館」
地主の「威厳」を感じさせる太宰の生家。
彼はここで何を想い、育ったのか…。
---この父はひどく大きい家を建てたものだ。風情も何もないただ大きいのである---作家・太宰治が「苦悩の年鑑」の中で書き記した生への想い。
太宰治記念館「斜陽館」は多感な幼少期をここで過ごした太宰の心髄に迫る、貴重なミュージアムだ。
入母屋造り、和洋折衷の豪邸は、太宰が生まれる2年前の明治10年、大地主だった太宰の父によって建てられた。玄関の向こうに広がる土間は米俵が積まれ、小作人が地主に懇願した場所。太宰はそれをとても嫌がったという。そして同じ屋根の下に住んでいても、階級別に分けられた座敷、豪華な欄間、洋風のランプ、明らかに友達とは別の世界で育った苦悩とカタルシス……。
襖の向こうから、戯けた彼が今にもひょっこり顔を覗かせそうな気がしたのは幻だろうか。
rakra2006年9月号掲載
2006年8月頃撮影
太宰治記念館「斜陽館」
青森県五所川原市金木町朝日山412-1
TEL 0173-53-2020
ロイヤルシティ八幡平リゾートより約150km
【開館日】5月~10月10:00~18:00/11月~4月9:00~17:00
【休館日】12月29日
【入館料】一般500円、高・大学生300円/小・中学生200円(団体割引あり)
段差のある座敷。上席には主と長兄以外、入ることが許されなかった。
和洋折衷の豪邸は、弘前の名棟梁・堀江左吉が設計。
母の部屋の襖に描かれた漢詩「斜陽」の文字が当時のままに記されている。