大村美術館
武家屋敷が連なり、日本情緒が漂う名所・角館にひっそりと建つ大村美術館。ここでは、フランスのアール・デコ様式に特化した、ラリックのガラス作品世界が味わえる。
年配の読者は、洋行帰りのおみやげに喜ばれたコティのパウダーケースを覚えているだろう。このデザインは、フランスの偉大な装飾芸術家ルネ・ラリックが手掛けたものだ。
プライベート・ミュージアム(個人美術館)である大村美術館は、東京以北の関東・東北で唯一のラリック作品専門の美術館。ガラス作品をメインに、デザイン作品とその周辺資料など、400点あまりを所蔵している。
この美術館は、現在の副館長の父が構想を抱いたことに始まった。
「秋田県内で美術館としてロケーションのいいところを探していた父は当時、隠れた名所だった角館を選んだ。武家屋敷のスケールで小さなミュージアムを作りたかったんでしょう」と副館長。残念ながら熱意あるコレクターだった父は美術館のオープンの年に亡くなってしまったという。「作品は、自分で見て楽しむようにお客さんにも見て欲しいと思ったらしく、ケースに入れることなく飾っている。館内にカフェを作ったのも、きっと鑑賞後のお客さんと作品について話したいと思ったからでしょうね」。光の加減で楽しみが増すガラス作品。コレクターの気分で鑑賞してみるのもおすすめの美術館だ。
花瓶「つむじ風」は代表作のひとつ。
rakra2006年9月号掲載
2006年8月頃撮影
大村美術館
秋田県仙北市角館町山根町39-1
TEL 0187-55-5111
開館時間/4月~11月10:00~17:00、12月~3月10:00~16:00
休館日/4月~11月:木曜(祝日の場合は前日)、12月~3月:水・木曜(祝日の場合は開館)
入場料/一般800円
http://www007.upp.so-net.ne.jp/lalique/museum/
ロイヤルシティ八幡平リゾートから約95km
入り口から展示室への廊下。
自家焙煎の本格エスプレッソ(550円)など、メニューはすべてクッキー付き。
コティの香水瓶とパウダーケース。