ふけの湯
八幡平深くにこもる地熱は、「蒸かしの湯」の元祖
「春は残雪と新緑、夏は新緑、夜空には満点の星々。ランプが灯れば、この世の天国かと思うほど。秋はナナカマドの赤にヤマウルシの深紅、イタヤカエデの淡い黄色にコシアブラの黄色。これからの季節、木々が燃えはじめます」
そう話すのは女将の阿部恭子さん。温泉の北東には大谷地湿原、その奥には長沼。水面に映る逆さ紅葉の光景は神秘的だ。「そういう自然を、決して崩さないように営むことが使命」と話す。
ふけの湯はアスピーテラインの先に湧く八幡平温泉郷最古の温泉。宝永年間に発見されたといわれ、その地熱を利用した温泉は古くから「ふけの湯村」と呼ばれるほどの賑わいを見せていた。ゴザを敷いて寝転がることで体を温めた「蒸かしの湯」は、地熱を使った天然の床暖房・オンドル小屋。昭和48年の地滑りでなくなったオンドルを数年前に再開、混浴露天風呂近くに4棟を設けた。
「人の健康を考えると、温泉はなくてはならないもの。それを続けて営むのが、湯守りの努め」と女将。蒸かし湯の元祖として、今も変わらない湯治場風情を醸す。
rakra2007年10月号掲載
2007年9月頃撮影
ふけの湯
秋田県鹿角市八幡平ふけの湯温泉
TEL 0186-31-2131
●日帰り入浴時間/8:00~17:00(冬季休業)
●日帰り入浴料/500円
●宿泊/12,600円~(1泊2食、税・サービス料込)
http://www.ink.or.jp/~fukenoyu/
ロイヤルシティ八幡平リゾートより29.2km
オンドル小屋は混浴露天風呂の近く、地熱がこもる場所にある。ゴザを敷いて寝そべれば、熱が背中から徐々に体全体を包み込む。
内湯へと通じる廊下。磨き込まれた床が飴色に光る。
オンドル小屋の土から噴きだす成分が木を黄色に染めている
金勢さまを祀るふけの湯神社。子宝や縁結び、健康を祈願して金勢こけしを奉納する人が多い(こけしは売店で販売)。