ランプの宿 青荷温泉
ほのかな灯りに身をゆだね「静寂を聴く」という贅沢
秘境と呼ぶにふさわしい、山あいの一軒宿が、「青荷温泉」。
開湯は昭和5年(1930)。歌人・丹羽洋岳が青荷川渓流で自給自足の暮らしをはじめたのがきっかけ。その頃から変わらないのが、ランプに揺らめく、やさしい灯りだ。
部屋には、電気もなければテレビもない。春はマンサクの花や新緑、山菜。夏は姫蛍の光とカジカガエルの声、秋は紅葉とキノコ。そして冬は墨絵のような景色に雪明かりと、ありのままの自然が、すーっと体に融けていく。
黄昏時、ガチャガチャとランプを運ぶ音が聞こえたかと思うと、あちらこちらに灯りがともり、懐かしい場所へ帰ったように郷愁を誘う。
広い敷地に点在する天然温泉は、渓流を眺める健六の湯、滝見の湯、岩を重ねた混浴露天風呂、総ひばの内風呂があり、連泊しても飽きさせない魅力がある。
岩魚や珍しい山菜など、野趣あふれる食事は、季節の山の恵みでいっぱい。
夜の静寂を照らすランプが、いつしか心を、そっと解きほぐしていった。
rakra2008年5月号掲載
2008年4月頃撮影
ランプの宿
青荷温泉
青森県黒石市大字沖浦字青荷沢滝の上1-7
TEL 0172-54-8588
宿泊料金/
夏期4月1日~9月30日まで 1泊2食9,600円。(税・サービス料・入湯税込み)
冬期10月1日~3月31日まで 1泊2食10,650円。(税・サービス料・入湯税込み)
チェック/イン15:00、アウト10:00
客室数/36部屋(団体用離れあり)
http://www.yo.rim.or.jp/~aoni/
ロイヤルシティ八幡平リゾートより約131km
新鮮なイワナの塩焼き、わらびの辛子和え、アカシアの花の酢漬など、山の幸いっぱいの食事。
ランプの灯りで肌がきれいに見える青荷温泉。趣の異なる4つの湯が、「ずっとここにいたい」と思わせる。