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2024年12月24日
厚労省検討会
新たな地域医療構想と医師偏在対策のとりまとめ案を大筋了承
厚生労働省の「新たな地域医療構想等に関する検討会」は12月10日、2040年頃を見据えた新たな地域医療構想と医師偏在対策に関するとりまとめ案を大筋で了承した。
主な内容をみると、地域医療構想は医療法上の位置付けを医療計画の上位概念に変更。地域医療構想は都道府県が定める地域の医療提供体制全体の将来のビジョンとし、医療計画は構想に沿った5疾病・6事業、在宅医療、医師確保、外来医療等の具体的な取り組みを定める実行計画と整理した。
新構想は、病床だけでなく医療機関の機能にも着目して、地域における医療機関の役割分担と連携を推進。このため医療機関に自院の医療機関機能を報告してもらう医療機関機能報告を創設する。報告する機能は、「高齢者救急・地域急性期機能」、「在宅医療等連携機能」「急性期拠点機能」、「専門等機能」の構想区域単位で確保する4機能と大学病院本院を想定した「医育及び広域診療機能」の全5機能とする。
急性期拠点機能は一定の水準を満たす医療機関のみが報告可能
このうち「急性期拠点機能」では、高齢者以外の救急医療や手術等の需要縮小、医療従事者不足の深刻化など踏まえ、拠点となる病院への症例と人材の集約化を図る。このため一定の水準を満たす医療機関だけが報告できる仕組みにするとともに、構想区域ごとにどの程度の病院数を確保するかをあらかじめ設定する。
都道府県は26年度中に新構想を策定し、27年度から地域医療構想調整会議での協議に入る。空白期間が生じないよう、26年度については現行構想の取り組みを継続する。
一方、医師偏在対策では診療所医師数が顕著に多い地域での新規開業に対して、都道府県知事の要請・勧告などの医療法上の対応と保険指定での取り扱いを厳格化する健康保険法上の対応を組み合わせた措置の導入を提案した。
要請を受けた診療所の保険指定期間を短縮、指定取り消しには踏み込まず
具体的には、外来医師偏在指標が一定値以上の地域を新たに「外来医師過多区域」に設定。当該地域での新規開業希望者に対し、開業の6カ月前に提供予定の医療機能等を届け出ることを求める。届出内容に地域に不足している医療機能等が含まれない場合は、(1)外来医療の協議の場への参加や不足している医療機能等の提供を要請、(2)開業後に要請した医療を提供していない場合は都道府県医療審議会での説明を求める、(3)正当な理由がない場合は勧告を行うーという流れで医療法上の対応を実施。さらに、開業前に要請を受けた診療所の保険医療機関としての指定期間を通常の6年から3年に短縮するなどの健康保険法上の措置も講じる。指定取り消しにまでは踏み込まなかった。
政府が年内にとりまとめる「医師偏在是正に向けた総合的な対策パッケージ」にこれらの内容が反映される見通し。
2024年12月10日時点の情報を基に作成