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2024年11月11日
社保審・医療部会
オンライン診療のさらなる活用見据え、法制化の検討を開始
厚生労働省はオンライン診療のさらなる推進に向けた法整備として、医療法にオンライン診療に関する規定を設けることを10月30日の社会保障審議会・医療部会に提案した。今後、部会での議論を重ね、2025年の通常国会への法案提出を目指す。
オンライン診療は厚労省の「オンライン診療の適切な実施に関する指針」(以下、指針)に沿って実施することが求められ、指針を遵守している場合に限り、対面診療なしでの治療等を禁じる医師法の規定に抵触しないと整理されている。また、オンライン診療の受診場所については医療提供施設と居宅等の療養生活の場と定められているが、規制改革を求める声の高まりを受け、これまでは通知による解釈運用で順次、通所介護事業所などへの拡大を進めてきた。
オンライン診療を活用する場面は、新型コロナのような新興感染症対応や医師が不足する地域への対応の観点からも今後さらなる拡大が見込まれるが、厚労省はその際、法制上の位置づけが明確でなければ安全性や医療の質の確保が困難になると判断。このため指針等による現行制度の運用を活かす形で医療法にオンライン診療の総体的な規定を設けることを部会に提案した。
オンライン診療実施医療機関に都道府県への届出を義務付け
具体的には、(1)オンライン診療を行う医療機関、(2)特定オンライン診療受診施設―について定める考え。(1)ではオンライン診療を行う医療機関に都道府県への届出を義務付けるほか、オンライン診療を行う医療機関が遵守すべき基準(オンライン診療基準)を定める。後者は現行の指針に記載されているオンライン診療の実施場所、患者への説明事項、病状急変時の体制確保などについて法令で定めることを想定している。
(2)特定オンライン診療受診施設は、例えば通所介護事業所等のように「オンライン診療が施設にいる患者に対して行われる施設であって、当該施設の設置者が医師または歯科医師に対し、業として、オンライン診療を行う場として提供しているもの」と定義。都道府県への届出は施設側が行うが、オンライン診療の実施責任はオンライン診療を行う医療機関の医師が負うこととし、医療機関の管理者には施設の運営者に対してオンライン診療基準への適合性の確認を行うことを求める。
2024年10月30日時点の情報を基に作成