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2023年10月31日
厚労省
医師働き方改革の施行に向けた準備の進捗状況を報告
2024年4月からの医師の時間外労働(休日労働含む、以下同じ)への上限規制導入まで、残り半年を切った。厚生労働省は10月12日、約1年半ぶりに開いた「医師の働き方改革の推進に関する検討会」に、施行に向けた準備の進捗状況を報告した。時間外労働が年1,860時間を超える医師は減少傾向にあるが、一方で大学病院による医師の引き揚げで診療への影響が懸念される施設も一定数あることがわかった。
報告によると、年1,860時間までの時間外労働が例外的に認められるB、連携B、C水準の指定を医療機関が受ける際に必要な「医療機関勤務環境評価センター」による評価の受審申込件数は471件となった。1カ月の時間外労働が100時間以上になることが見込まれる医師が対象の面接指導の実施医師養成講習の修了者は、7,117人に上る。
16年以降、3年おきに実施している医師の勤務環境に関する調査の結果も報告された。今回行った22年調査の分析対象は、病院の常勤勤務医1万1,466人。結果をみると、時間外労働がB、C水準(年1,860時間)を上回る、年換算で1,920時間超の医師の割合は16年調査時の9.7%から、8.5%(19年調査)、3.6%(22年調査)と減少していた。
診療科別の分析では(22年調査)、脳神経外科(9.9%)、外科(7.1%)、形成外科(6.8%)、産婦人科(5.9%)、救急科(5.1%)で時間外労働が年1,860時間超の医師の割合が高かった。
医師引き揚げによる診療機能への影響が懸念されるのは30施設
また、大学病院本院を除く病院、有床診療所を対象に23年6月下旬から7月上旬にかけて行った準備状況調査の結果によると、調査時点で副業・兼業先を含む通算の時間外労働が年1,860時間を超える医師は病院515人、有床診1人だった。このうち宿日直許可の取得や労働時間短縮の取り組みを行っても、24年4月時点で1,860時間を超える見込みの医師は病院83人、有床診0人。医師の引き揚げによる診療機能への支障が見込まれる医療機関も30施設あった。
2023年10月12日時点の情報に基づき作成