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2023年09月13日
社保審・医療保険・医療部会
24年度診療報酬改定の基本方針に関する議論始まる
2024年度診療報酬改定の基本方針に関する議論が8月24日と25日の両日、社会保障審議会の医療保険部会と医療部会で開始された。例年通りのスケジュールで進めば基本方針のとりまとめは12月上旬ごろになる見通し。これを受けて年末の予算編成過程で診療報酬の改定率が決まり、年明けからは中央社会保険医療協議会・総会において、基本方針の内容を個別点数の設定や算定条件に反映させるための議論が進められることになる。
新型コロナウイルス感染症のまん延下での実施となった22年度改定の基本方針では、▽新型コロナ等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築▽安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進―が重点課題に据えられた。
医療関係者は入院時食事療養費の引き上げを要望
フリーディスカッション形式で進められた両部会では、医療関係者の委員の多くが、物価高騰や人件費の上昇への対応や、入院時食事療養費の見直しを求めた。
日本医師会の猪口雄二副会長は入院時食事療養費について、「(水道光熱費や原材料費の高騰などで)ほとんどの病院の給食部門が赤字になっている」と窮状を訴え、引き上げを強く要望。日本慢性期医療協会の池端幸彦副会長は、医療従事者確保のためには処遇改善が不可欠だとし、「人材不足は医療界だけの問題ではないが、(診療報酬という)公的価格に縛られている厳しさを理解してほしい」と述べた。
これに対して保険者や経済団体の委員は、現役世代の保険料負担の増加を抑制する観点から入院・外来医療における効率化と適正化の一層の推進を求めた。日本経済団体連合会社会保障委員会の横本美津子医療・介護改革部会長は、「現役世代の負担増に十分配慮し、経済の好循環を阻害しないような改定をお願いしたい」と要請。健康保険組合連合会の河本滋史専務理事は地域医療構想について、「病床数全体では目標を達成できそうだが、機能別の病床の構成は目標と乖離しており、引き続き病床機能の分化と連携の推進が必要だ」と指摘した。
2023年8月25日時点の情報を基に作成