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2023年05月31日
財務省が財政審に提言
外来医師の都市部などへの偏在解消は踏み込んだ対策を
財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会・財政制度分科会は5月11日、社会保障制度について議論した。この中で財務省は都市部に集中しがちな外来医師の偏在解消策として、諸外国を参考にした開業規制の導入などを提言。入院医療では、急性期の入院料を現在の看護配置を基本とした報酬体系から実績を重視した体系に転換することなどを求めた。提言内容は財政審が近くまとめる春の建議に反映される。
外来医師の偏在解消では現在も、外来医師数が全国平均よりも多い二次医療圏(外来医師多数区域)を対象に、新規開業希望者に対して地域で不足する外来の医療機能(初期救急や在宅医療など)を担うよう要請する取組が進められている。
財務省は分科会に提出した資料で、この取組で実際に不足する医療機能への対応要請に応じた新規開業希望者が7割程度であることを問題視。診療所の新規開設について、診療科別、地域別の定員制を導入しているドイツやフランスを参考に、「もう一歩踏み込んだ対応が必要ではないか」と訴えた。
入院医療では、地域医療構想における2025年の医療機能別の病床必要量に対して、急性期機能病床は多く、回復期機能病床は少なくなる見込であることを示し、急性期病床から回復期病床への転換が進まなければ、「今後、各地域で治療に長い期間を要する高齢者が増える中で、質の高い急性期医療、回復期における適切なケアの提供ができなくなる」と危惧した。
看護配置を要件とする急性期入院料は廃止を検討すべき
さらに急性期機能病床の大多数を報酬額が最も高い、看護配置7対1の「急性期一般入院料1」の算定病床が占める現状にも問題意識を表明。医療費抑制の観点から、「7対1といった看護配置に依存した診療報酬体系から、患者の重症度、救急受入、手術といった『実績』をより反映した体系に転換していくべきだ」と提言するとともに、「そうした中で、10対1といった看護配置を要件とする急性期入院料は廃止を検討するべきではないか」とも述べた。
2023年5月11日時点の情報を基に作成