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2020年11月30日
厚労省
「特定処遇改善加算」の事業所内配分ルール見直しを提案
厚生労働省は11月9日に開かれた、社会保障審議会・介護給付費分科会に、「介護職員等特定処遇改善加算」(以下、「特定処遇改善加算」)の見直し案を提示した。より使い勝手の良い仕組みとなるよう、加算財源を事業所内で配分する際のルールを緩和し、特定処遇改善加算の算定率向上につなげることを目指す。「職場環境等要件」の見直しも盛り込んだ。
「特定処遇改善加算」は、勤続10年以上の介護福祉士(経験・技能のある介護職員)に月額平均8万円相当の処遇改善を行うことを算定根拠として、2019年度の介護報酬改定時に導入。加算財源の事業所内の配分については、例えば処遇改善の対象に「その他の職種」まで含める場合、「他の介護職員」の平均処遇改善額を基準(=1)とすると、▽「経験・技能のある介護職員」は2倍以上▽「その他の職種」は2分の1を上回らない―など一定のルールが定められている。
このルールの範囲内であれば、処遇改善の対象職種や職員1人ひとりの処遇改善額は事業所の裁量で決められる柔軟な運用となっているが、特定処遇改善加算の算定率は20年6月サービス分で65.5%と伸び悩んでいるのが現状。加算を算定しない理由では、賃金改善の仕組みを設けるための事務作業が煩雑といった意見や、職種間あるいは介護職員間の賃金バランスが取れなくなることが懸念する意見が多い。
対応策として厚労省は、事業所内の配分ルールの緩和・簡素化を提案。具体的には、▽「経験・技能のある介護職員」は「他の介護職員」よりも高くする▽「その他の職種」は「他の介護職員」よりも低くする―ルールに改める方針を打ち出した(つまり、経験・技能のある職員>他の介護職員>その他の職種)。
「介護職員処遇改善加算」(IV)・(V)は廃止へ
「介護職員処遇改善加算」と共通の要件である職場環境等要件の見直しにも言及。より実効性を高める観点から、過去に行った取り組みではなく、当該年度における▽若手の職員の採用や定着支援に向けた取り組み▽職員のキャリアアップに資する取り組み▽生産性向上につながる取り組み―などの実施を求める考えを示した。また、「介護職員処遇改善加算」の(IV)・(V)は、上位区分の算定が進んでいることを踏まえ、一定の経過措置期間を設けた後に廃止することを提案した。
(2020年11月9日時点の情報を基に作成)