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2020年08月28日
厚労省
医師の働き方改革に関する調査の結果を公表
厚生労働省はこのほど、医師の働き方改革に関連する2つの調査の結果を公表した。このうち「令和元年(19年)医師の勤務実態調査」では、16年に行った前回調査時に比べて病院勤務医の時間外労働は減ったものの、小幅な減少に止まったことが明らかになった。調査結果は、今後、同省の「医師の働き方改革の推進に関する検討会」で基礎資料として活用される。
24年4月から勤務医の時間外労働は原則、年960時間(A水準)までに、救急医療などを担う医療機関の勤務医や研修医の場合は年1,860時間(B、C水準)までに制限される。
今回の勤務実態調査の分析対象は、週4日以上勤務する病院常勤勤務医8,937人。結果をみると、上位10%の時間外労働は前回調査の年1,904時間から1,824時間に減少し、B、C水準の範囲内に収まる改善が認められた。A水準を超える勤務医の割合も39.2%から37.8%へと、わずかながら低下。厚労省は18年2月に「医師の労働時間短縮に向けた緊急的な取組」を公表し、全国の医療機関に労働時間管理の適正化やタスク・シフト/シェアの推進などを求めてきたが、十分な成果を挙げているとは言い難いのが実情のようだ。
大学病院単体ではA水準に収まるも、兼務先との通算では超過
もう1つの「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査」では、地方の大学と都市部に近い大学の6つの診療科を対象に、時間外労働の上限規制導入が大学から関連病院への医師派遣に及ぼす影響などを調べた。回答医師は142人。
それによると、2大学6診療科のいずれにおいても、大学病院の勤務だけで時間外労働がA水準を超える医師はなかったが、兼務先と通算した場合は43人(構成比30.3%)がA水準を超えた。兼務先との通算がA水準を超えた場合、勤務間インターバルの確保や連続勤務時間制限といった追加的健康確保措置を対象医師にもれなく実施する必要性が生じる。このため、調査を行った厚労省の研究班は、主たる勤務先が兼業を禁じるなど、兼務先の医療提供に支障が出ることがないようにする制度設計が重要と問題提起している。
(2020年7月31日時点の情報に基づき作成)