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2020年01月13日
京都大学・東京大学
がん化抑える遺伝子変異を潰瘍性大腸炎で発見
腹痛や下痢、発熱などが特徴の潰瘍性大腸炎は、長く続くと遺伝子の変異が蓄積され、大腸がんを発症しやすくなることが知られている。このたび、京都大学と東京大学の研究チームが潰瘍性大腸炎に長くかかった患者の大腸を詳細に調べ、がん化を抑える働きをする遺伝子変異も生じることを発見した。新たな治療薬や予防法を開発する手掛かりになるという。
大腸の粘膜上皮には「陰窩」と呼ばれる無数の小さなくぼみがあり、底に位置する幹細胞が供給する細胞の集団で構成される。潰傷性大腸炎の患者では、炎症による破壊と再生が繰り返され、結果として少数の生き残った陰窩の「コピー」で占められるようになり、遺伝子の変異が積み重なる。
研究チームが変異した主な遺伝子を調べたところ、9個の遺伝子はがん化に関与しているとみられたが、「NFKBIZ」など2個の遺伝子の変異は炎症を弱め、がん化を抑える役割を果たしている可能性が浮上。ヒト大腸がんの細胞株やマウスを使った実験で確認した。