大和ハウス工業株式会社

DaiwaHouse

セキュレア豊田柿本(分譲済)

まちの開発

大和ハウスグループのまちづくり事例

日本初、戸建住宅間で電力を融通できるまち
セキュレア豊田柿本

(分譲済)

愛知県豊田市

愛知県豊田市に誕生した「セキュレア豊田柿本」。日本初※となる低圧電力の供給による戸建住宅間の電力融通、エネルギー自給住宅の実証など、地産地消による効率的なエネルギー利用を実現できるまちづくりを目指しました。

  • 開発面積:6,911.02m2
  • 総戸数:戸建住宅21戸、賃貸住宅2棟

※当社調べ

開発の背景

「セキュレア豊田柿本」は、当社が全国で展開している、まちに新たな価値を提供する「SMA×ECO PROJECT(スマ・エコ プロジェクト)」の第6弾です。

2014年、環境モデル都市である豊田市は、エネルギーを無理なく、無駄なく、快適に使える仕組みを取り入れ、家庭及び地域の温室効果ガス削減とエネルギーのピークシフト・ピークカットを実現できるスマートタウンの形成を目指し、プロポーザルを実施。その結果、当社の提案が選定されました。

これまで当社はスマートタウンとして、省エネルギーや創エネルギー、蓄エネルギーの技術を活用したネット・ゼロ・エネルギー・タウン※を開発してきました。

「セキュレア豊田柿本」は、それらの技術をさらに進化させ、効率的なエネルギー利用を実現。同時に、電気料金の変動や再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT制度)の終了などを見据えて、エネルギーの地産地消を加速させた先導的な取り組みです。

※まち全体で創り出されるエネルギーと消費されるエネルギーの1次エネルギー換算値が、創り出される方が多いまち。

エネルギーの効率利用

街区内電力融通とエネルギー自給住宅

「セキュレア豊田柿本」では、「街区内電力融通」と「エネルギー自給住宅」という2つの取り組みを行っています。

街区内電力融通は、自宅の太陽光発電システムで発電した電力やリチウムイオン蓄電池に蓄えた電力を、街区内のみんなで分け合って消費する仕組みです。住宅単体ではなく、街区単位で電力融通を行うことで、効果の拡大を図っています。なお、この仕組みは、大がかりな管理施設を設けるのではなく、配線の工夫や簡易な制御システムにより構成しており、他のまちへの展開も容易です。

エネルギー自給住宅は、多様な省エネルギー技術を組み合わせて、最小限のエネルギーで快適な生活ができるように配慮した住宅です。さらに、給湯器などの設備機器を最適なタイミングで稼働するように、稼働時間をシフトする工夫も施しています。現在は、エネルギーの自給に最適な創エネルギーや蓄エネルギーの設備容量を、コストとのバランスを考慮しながら検証を進めています。

電力融通街区における電力の小売契約は、大和エネルギー株式会社がサポートしています。リチウムイオン蓄電池はエリーパワー株式会社が供給しています。

全戸に太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステム 全戸に太陽光発電とリチウムイオン蓄電池を組み合わせたハイブリッドシステムを導入しています。

防犯・見守り対策

まちと住まいの出入りを見守る

まちの出入り口に防犯カメラを設置。犯罪を意図する者の侵入を抑制するとともに、万が一、犯罪が発生した際には、警察への画像提供などにより犯罪の早期解決にも寄与します。

また、お子さまが自宅のカメラ付きインターフォンを押すと、画像が親にメールで送信され、お子さまの帰宅や様子を確認できます。さらに、玄関ドアはHEMSにより外部からでも施錠が可能で、鍵の閉め忘れにも対応できます。

快適な空間の形成・維持

電柱のない良好な景観づくり

トータルコーディネートされた良好な景観を、将来にわたって守り、まちの価値を維持し続けるために、「セキュレア豊田柿本景観協定」と「街づくりガイドライン」を制定しています。

また、電線類を地中化することにより、まちの景観を阻害する電柱や電線類がなく、広い空を見渡せる景観づくりも実施。電柱・電線を地上からなくすことで、災害時における電柱の倒壊や断線による火災発生などの心配もなくなり、安全性の向上にもつながります。

電線類を地中化することで広く空を見渡せる景観づくりを実施 電線類を地中化することで広く空を見渡せる景観づくりを実施しています。

人とまちのつながり

まちの共有物は住民全員で維持管理

集会所や調整池に設置している太陽光発電システムは、住民全員の共有物です。その適切な維持管理は、住民全員で結成する団地管理組合法人が将来にわたって行います。

団地管理組合法人の重要な意思決定は、住民全員による総会において決議されます。日々の運営を担う役員会は、住民の中から選出されるため、住民一人ひとりが主体的にまちの運営に携わることができる機会をつくり出しています。また、集会所の一部を防災倉庫として活用し、地元自治会との連携も図っています。

さらに、公共施設である調整池の上部に、住民共有の太陽光発電を設置させていただき、豊田市とも連携したまちづくりを展開しています。

団地管理組合の運営事務は、大和ライフネクスト株式会社が受託しています。

まちの太陽光発電システムは、住民全員で維持管理 まちの太陽光発電システムは、住民全員で維持管理しています。

豊田市長の声

豊田市長
太田 稔彦 様

豊田市は環境モデル都市として、市民が無理なく無駄なく快適に「エコな暮らし」を実現できる社会を目指しています。

「セキュレア豊田柿本」は、街区全体が豊田市の推進する「太陽光発電、HEMS、蓄電池」を装備したスマートハウスで構成され、エネルギー自給住宅や住宅間の電力融通に挑戦するなど、「ミライのフツー」を先取りするまちです。

この先進的な取り組みの発信を通じて、市民の皆さんのライフスタイルの転換や、本市への定住が促進されることを期待しています。

当社担当者の声

近年の豪雨災害や猛暑などの異常気象は、私たちが身近に感じる地球環境の変化ではないでしょうか。2015年の第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)では、世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して2度未満に抑える「パリ協定」が採択され、環境問題は世界共通の課題となっています。

これらの環境問題への配慮を、住民の方が無理することなく、さらには快適性や利便性を向上させたまちづくりと同時に実現していかなければなりません。その取り組みの代表例が、「街区内電力融通」と「エネルギー自給住宅」です。実現に向けては困難な局面も多々ありましたが、当社グループ会社のさまざまなソリューションを活用し、乗り越えることができました。

現在は、電力融通によって、街区外から供給される電力への依存度を低減することができており、街区内におけるエネルギー地産地消の効果が表れています。引き続き、電力融通街区の住民の方のご協力をいただきながら、さらなるエネルギーの効率利用に向けて、技術の進化への実証フィールドとして活用させていただいています 。

今後は、このプロジェクトで得た経験や技術を活かして、より新しい価値を生み出すまちづくりに取り組んでまいります。

大阪都市開発部 企画室
濱崎 孝一

受賞歴

  • ジャパン・レジリエンス・アワード(強靭化大賞)2024 優秀賞

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