小さな子どもでも、家族の一員として生活することが大切。
親子で暮らしを楽しむ家づくりや、意欲的、健康的に育つための習慣について、
保育・幼児教育の専門家の先生にお伺いしました。
身の回りを管理することを学び、自立心を育てる重要な役割を持つ子ども部屋。有効に活用し、良い生活習慣を身につけさせましょう。
子どもが小さいうちは、リビングなどに勉強道具やランドセルが置ける場所があれば独立した子ども部屋は不要です。最近では中学受験をする子が増えているので、受験期に合わせて個室を設けると良いでしょう。それまでは親や兄弟姉妹と一緒の部屋で十分だと思います。
間取りによっては外からの騒音が気になり、勉強に集中できなくなってしまいます。道路に面した窓には、防音対策として厚手のカーテンを取りつけるなどの工夫が必要です。また、日当たりが良いのが理想的ではありますが、子どもが個室で過ごすのが夕方以降になる場合には、日当たりはあまり関係ないという考え方もあります。
子どもが生まれる前に部屋を計画する場合、部屋のデザインや間取りはフレキシブルに対応できるようにしておきます。持ちものの変化に合わせられる、可動式の収納を取り入れると良いでしょう。
学習習慣を定着させるためには、リビングやダイニングでの勉強がおすすめです。ゲームやマンガなど誘惑が多い子ども部屋よりも親の目が行き届くリビングの方がリラックスでき、集中力が高まります。私の場合はリビングで仕事をすることが多く、「ママがここにいるうちに宿題をやってしまいなさい」と言って、息子たちと一緒に机に向かっています。仕事をしながら子どもの話を聞けるので、毎日のコミュニケーションの場にもなっています。成長に伴い親の手がかからなくなってきますが、会話を通して最低限のことはしっかり把握しておきたいですね。
ダイニングテーブルで勉強する場合、学習机とは違い机や椅子の高さが大人用になっているので子どもは姿勢が悪くなりがち。机上面の高さが肘と同じか、少し低めになるようクッションなどで調節しましょう。正しい姿勢は学力アップにもつながります。
また、食事の時間になるとテーブルの上を一旦片づけなければいけませんが、テーブルの横に作業机を置き、そこで勉強させると、都度片づけなくても食事ができます。ワゴンなどを利用すると良いでしょう。スペースに余裕が無い場合は、「夕食までに終わらせようね」と時間を区切って取り組ませます。
子どもが家の中で手伝いや片づけをせず、〝お客さん状態〟では家族の一員とはいえません。気持ち良く生活するために、共有スペースにおいても、自分のものは自分で片づけるように教えましょう。
家中にあるものの指定席を決め、使ったら必ず元の場所に戻すように徹底します。その際、棚に置くだけ、箱に入れるだけ、というように、できるだけアクションを減らしましょう。片づけを面倒がる子どもでも、簡単に元の場所へ戻せるよう工夫します。
小さい時に過ごした自分の家は原風景となり、子どもにとって一生の思い出になります。ここで過ごせて良かったと思えるような家でありたいですね。日々の暮らしを楽しみながら、家族みんながホッと一息つける場所にしましょう。
- ■ 玄関
- シューズクロークが半畳でもあると大変便利です。外遊び用のおもちゃや、毎日学校に持っていくものなどを置いておきましょう。花粉や汚れのついたものを家の中に持ちこまないためにも、玄関の収納スペースは欠かせません。
- ■ リビングなど
- 子どものものを親が片づけると、仕分け方が細かくなってしまう場合があります。グループ分けは簡単にし、子どもにとって片づけやすい環境をつくりましょう。“1アクション”を意識してみてください。
- ■ 脱衣所
- お風呂から上がったらすぐに着替えられるように、子どもの下着やパジャマは脱衣所にしまうと便利です。洗濯後の動線も短くなりますよ。
- ■ 子ども部屋
- ものの指定席を決めておくことはもちろんですが、子どもの成長や趣味の変化にしたがって、片づけやすい配置に変えていくのがポイント。また思い出の品や作品など、捨てにくいものは写真に撮って残すのも一つの手です。
アドバイス
猪熊 弘子先生
ジャーナリスト、東京都市大学人間科学部客員准教授。保育・教育、子どもの問題、施策を主なテーマに、執筆・翻訳のほか、テレビ・ラジオのコメンテーターや講演も行う。4児の母。著書に「命を預かる保育者の子どもを守る防災BOOK」(学研教育出版)など。
2015年8月現在の情報となります。