住まいづくりを考える時、間取りとインテリアを並行して検討していくのがおすすめです。
「リビングではこんな風に過ごしたい」「子どもが成長したらこんな使い方がしたい」などと
実際の生活に想像をめぐらせ、実現したい暮らしに合ったインテリアづくりを行いましょう。
そこでポイントとなる、造作家具の考え方について
ハウジングマイスター(社内認定)・小林と、
インテリアコーディネーター・三瓶がご紹介します。
Profile
小林 英明
大和ハウス工業 名古屋支社 住宅事業部 設計部 設計課 主任技術者
一級建築士、CASBEE戸建評価員。お客さまへの誠実な対応と水彩を用いたスケッチ提案で信頼関係を結ぶ。
三瓶 典子
大和ハウス工業 名古屋支社 住宅事業部 設計部 設計課主任
インテリアコーディネーターとして多くの経験を積み、お客さまからの信頼も厚い。
2021年3月現在の情報となります。
造作家具を取り入れるメリット
新築時にぜひ検討していただきたい造作家具。既製品とは異なり、部屋のサイズや用途に合わせてつくるオーダーメイド家具のことです。既製品よりもコストがかかる場合が多いですが、サイズやイメージがぴったり合ったインテリアづくりが可能になります。既製の家具を探して設置したときに発生しがちなデッドスペースが生じにくいので、全体的にすっきりとした空間が実現できます。また、ぴったり合うサイズで設置ができるため隙間ができず掃除がしやすい点や、壁に固定するので地震の時に倒れる心配がない点もメリットでしょう。
壁の代わりに造作棚
例えば、空間を仕切る壁の代わりに造作棚をつくるのも一つの方法です。両側から使えるように工夫された棚は、ただ収納するだけでなく、ディスプレイを楽しむ魅せる収納にもおすすめ。壁そのものが収納棚になっていることでスペースを有効活用でき、圧迫感も抑えることができます。
廊下側
階段ホールに設けた造作の飾り棚。飾るものを変化させれば、異なる印象をもたせることができ、多様な楽しみ方が可能です。
撮影:長久手xevoΣPREMIUM展示場
セカンドリビング側
セカンドリビング側から見た飾り棚は、魅せる部分と隠す部分(扉付き)を組み合わせて設計。ソファの背などで隠れてしまう部分は反対側からの収納になっており、すっきりと使えるように計算されています。
撮影:長久手xevoΣPREMIUM展示場
理想の造作ドレッサー
使う人によって好みや使い方に差が出るドレッサーは、造作で理想を追求するのも良いでしょう。寝室やウォークインクローゼット、洗面室など設置する場所に合わせたサイズでつくったり、収納したいアクセサリーや化粧品の容器のサイズに合わせた引き出しを設置したりするのも可能。収納したアクセサリーなどが見えるように一部をガラス張りにした天板や、部屋全体の明るさに応じた補助照明を取り入れるなど、自分の使い方にぴったりのドレッサーを実現できます。
撮影:長久手xevoΣPREMIUM展示場
ポイントは設置場所を見極めること
メリットの多い造作家具ですが、むやみに取り入れるのはおすすめしません。造作家具を取り入れるポイントは、「設置場所を見極める」ことにあります。造作家具は後々動かすことができません。模様替えをしたい時や子どもが成長して部屋の用途が変わった時など、今後のライフスタイルを想定して、変化が少ないと考えられる場所に取り入れるのが良いでしょう。
テレビボードを設置
近年はテレビを壁掛けで設置するリビングスタイルが増えています。テレビボードを動かす機会は少なくなるので、造作して壁に埋め込むとリビングがすっきりします。フロートタイプのテレビボードを造作すると、壁面のクロスに合わせてデザインすることもできるのでなじみやすく、空間を広く見せることも可能です。脚がないため掃除がしやすいのもフロートタイプの魅力。リビングのテーブルなどとカラーコーディネートしてまとまりを出すのも素敵です。
ベッドフレームを造作
重心が低く落ち着いた寝室も、造作のベッドフレームで実現できます。低く張り出した台を造作し、マットレスを載せることで、空間を広く見せ安定感のある仕上がりに。
玄関にベンチを設置
玄関には、フロートタイプのシューズボックスを造作して設置すると、掃除がしやすく、清潔な状態を保つことができます。また、靴を履く時などに腰掛けられるフロートのベンチを設けておくことで、足腰にも優しい配慮のある玄関になります。
目立つ柱をなじませる
設計上動かせない柱を空間になじませるため、造作を取り入れるという手法もあります。柱に巻き付けるように曲木の棚をデザインし、インテリアの一部に見せることで、柱の存在感を消すことができます。
生活シーンをシミュレーションして、
必要な機能を取り入れる
造作家具を考える時には、そのスペースで誰が・いつ・何を・どのように行うのかを想像することが重要です。例えば、カウンターを造作したいと考えた時に、そのカウンターを子どもが勉強する時に使用するのであれば、勉強道具をしまう収納スペースが近くに必要です。パソコン作業をする想定ならば、電源を近くに引いておく必要があるでしょう。自由につくれるという利点を生かして、より使いやすい家具を造作すると良いでしょう。
撮影:長久手xevoΣPREMIUM展示場
タタミコーナーに造作したカウンターと吊り収納。足を下ろして座れる掘り込みのカウンターには、テレワークスペースとしての利用も想定して照明や電源を設置しています。吊り収納には和風のクロスでアクセントをつけています。
造作家具のメリットを生かして快適な住まいづくりを
先々の生活を見据え、間取りと一緒に検討することで、造作家具を取り入れるメリットはより大きくなります。一からオーダーするだけでなく、既製のメーカー品と組み合わせて一部を造作するのも、手軽に取り入れることができておすすめです。希望する生活シーンやインテリアイメージ、予算などを設計士やインテリアコーディネーターと相談しつつ、快適な住まいをつくるために造作家具を取り入れてはいかがでしょうか。