理想の家を建てるために、まず、敷地調査をしてもらう
家づくりをスタートするにあたり、必ずやるべきこと。
それは『自分の敷地を知ること』です。
購入した土地に新築する場合も、今ある家を解体して建て替える場合でも、
理想の家を建てるために欠かせないのが『敷地調査』。
『敷地調査』では、測量を行い、敷地にかかる法規制や地盤の強度などを調べます。
それでは、詳しくご説明しましょう。
自分の敷地の現状を知る
敷地の可能性を最大限に活かしたプランをつくるためには、まず、敷地の現状を調べることが大切。建築を検討している会社にお願いすると、無料で敷地調査を実施してくれるケースも多いようです。敷地を測量し、正確な形状を把握します。また、実際に測量した敷地の面積と、登記簿上の面積(公簿面積)が一致するか確認します。公簿面積は昔の測量技術によることが多く、面積が不正確な場合があり、一致しないケースも少なくありません。その場合は、実測の面積に合わせて設計します。
道路や隣地との高低差を把握することも重要です。高低差が大きい場合は、擁壁(斜面の土が崩れ落ちるのを防ぐための壁)をつくることになります。すでに擁壁がある場合は、強度が十分か、排水のための水抜き穴が設けられているかなどを調べます。強度が不十分な場合は擁壁を施工し直す必要があり、その分の費用も考えなくてはいけません。
水道・下水道・ガス・電気の配管などの有無も調べます。水道の引き込み管の口径は、以前は13mmでしたが現在は20mmが一般的(東京23区は原則20mm以上でなければ新たに水道を引き込めない)。新規の引き込みや交換をする場合は、工事費用がかかります。なお、前面道路が公道でなく私道の場合、所有者に道路掘削工事の承諾を得る必要があるので、注意が必要です。
敷地にかかる法的な規制を調べる
敷地には、建築基準法や都市計画法などの法律による規制があります。自分の土地だからと、好き勝手には建てられないということです。逆にいえば、このような法律があるおかげで、全体として良好な住環境を保てるのだと考えられますね。
さて、主な法的規制について説明しましょう。「地目」は、不動産登記法に定められた土地の区分で、通常の住宅が建てられるのは“宅地”と定められた土地になります。「用途地域」は、都市計画法に基づき、その土地にどんな建物が建てられるか13種類に分類したもの。一般的に“住居”と名のつく8つの区分が居住向きとされています。それぞれの区分に応じて、建ぺい率・容積率、高さ制限、斜線制限などの規制が定められています。
「建ぺい率・容積率」は、どのくらいの大きさの家が建てられるかに関わる、重要な要素です。「高さ制限」「斜線制限」は主に採光や通風を保つための決まりです。
ほかに、敷地の「前面道路」は幅4m以上でなくてはならず、4m未満の場合は「セットバック」(敷地を後退させること)をするといった規制があります。
また、地域によっては「風致地区」などの規制があるところもあります。美しい街並みや自然環境を維持・保存するために、建ぺい率、建物の形状や高さ、デザインなどに一定の制限が加えられます。
土地にはいろいろな制限が多いなぁ…と感じるかもしれませんが、快適な住まいと暮らしのために必要なルールです。きちんと敷地調査をした上で、家づくりをスタートしましょう。
敷地の地盤について調べる
頑丈な家を建てても、それを支える根底部分の地盤が軟弱では、傾いたり沈んだりしてしまいます。地盤は、家づくりの肝といえます。平成12年の建築基準法改正により、家を建てる際には地盤調査を行うように定められました。建て替えの場合、昔から住んでいるから大丈夫、前の家は傾かなかった、などと考えるケースもあるようですが、新しく建てる家は以前の家と重さも形も異なります。地盤調査は、必ず行うようにしましょう。
まずは、これから家を建てようとしている土地の成り立ちを調べます。丘陵地、台地などの地形によって、地盤の強度を推察できます。ただし、もともと地盤の固い地域でも、宅地造成で切り土・盛り土が混在している土地は注意が必要です。以前は田んぼや畑だったというような土地の履歴も判断基準になります。
現地では、地表面の様子、水はけ、既存の建物があれば基礎や外壁にひびなどがないかを調べます。現地の周辺環境も見ていきます。たとえば、湿地が近くにある、そばの道路かひび割れているなどの状況から、地盤が弱いかもしれないという推察ができます。このように、実際に現地を見て得られる情報はとても大切なのです。
基礎を支える地盤の強さを調べる
建物を支えるのは基礎、その基礎を支えるのは地盤です。もし、地盤が軟弱で建物の重さに耐えきれない場合は、建物は沈んでしまいます。
地盤の強度を調べるには、地耐力調査を行います。住宅の場合は、スウェーデン式サウンディング調査という方法で地盤の強さや地質を調べるのが一般的。先端がスクリュー状になっている棒の頭部に重さを加え、地中に貫入させて強度を調べます。
もし、地盤が軟弱と判明した場合は、基礎補強を行い対処します。補強の種類は、深基礎のほか、表層改良、柱状改良、小口径鋼管杭の方法で対応します。いずれも、建物の重さを支持層にしっかりと伝えることで、建物の沈下や傾きを防ぎます。
基礎補強には費用がかかります。もし、自分の土地が軟弱地盤だった場合は、家づくりの費用に基礎補強の予算も組み込まなくてはなりません。そのような観点からも、最初にきっちりと地盤調査を行うことが大切です。
『敷地調査』の重要性、おわかりいただけたでしょうか?自分の敷地の状況を知り、どんな家が建てられるかを知ることから、家づくりはスタートします。お気軽にご相談ください。
家づくりの前に知っておきたい『敷地調査』のハナシ