どこか懐かしく、心がほっとする天然木のフローリング。
その木目や色艶(つや)、肌触りは五感を通じて私たちにやすらぎを与えてくれます。
今回は、天然木がもつ魅力や木目のゆらぎがもたらす癒やしについてご紹介します。
木と人とをむすぶ物語
人は昔から木とともに生き、木に暮らしを支えられてきました。生活のあらゆるものがデジタル化され、人工物に囲まれて暮らす現代だからこそ、私達は自然素材である木を目にしたり触れたりするとほっと落ち着くことができます。それは「天然木」がもたらす癒やし効果によるものなのでしょう。素材の力を存分に引き出した天然木の床は、住まいを心やすらぐ空間に仕上げてくれます。
天然木フローリングができ上がるまでには長い物語があります。遠く離れた地球の裏側の国で数百年生きた樹が、長い年月をかけて唯一無二の木目をつくり出す。そして多くの人の丁寧で想いのこもった作業工程を経て、私達が日々足裏で触れるフローリングとなるのです。
木質内装建材メーカーである朝日ウッドテック株式会社の起源は、銘木商「霜寅(しもとら)商店」。1913年の創業以来100余年にわたり、銘木という素材の力を生かす技を受け継いできました。銘木業界でも中心的な存在だった同社が銘木化粧合板の製造に取り組み始めたのは、1950年代のこと。当時は高級品だった銘木の良さをより多くの人に伝えたいという思いから始まった事業でした。
創業以来こだわり続けているのは、あくまで本物の木であること。同社が世に送り出した「ライブナチュラルプレミアム」は天然木を使った無垢材挽(ひ)き板フローリングです。
「挽き板」とは、銘木を鋸(のこ)で薄く挽き出す化粧合板用の仕上げ材のこと。挽き板フローリングは、反りや割れの少ない合板に挽き板を貼り合わせて、天然木の素材感や銘木の意匠を生かします。床暖房にも使える耐久性を持たせることができ、メンテナンス性や機能性において無垢フローリングよりも優れているとされています。
限られた資源を守りながら、世界の美しい銘木の温もりを届けられる挽き板フローリングは、発売以来、多くの人に支持されてきました。樹種のバリエーションも増え、多様なニーズに応える製品開発を行っています。
銘木商のDNAを受け継ぐ こだわりの選木
朝日ウッドテックの床づくりは、樹の選定から始まります。原木からの一貫生産を最大の特徴とする同社には、「銘木商」のDNAを受け継ぐ、森と木を知り尽くした「杢匠(もくしょう)」がいます。杢匠は年間100日以上世界の森を渡り歩き、樹を一本一本吟味。買い付けた樹は、①丸太の切断、②切断した丸太をさらに細かく切断、③木味(きあじ)活性化、④木組み、⑤貼り付け、⑥加工、⑦塗装という工程を経て床材となるのです。
天然素材であるがゆえに個体差があり、さまざまな特性をもつ木材。工程①②では、木口(こぐち)や側面から、年輪、節、芯の目合いなどを見極め鋸を入れます。熟練工の鑑識眼と素早い判断、的確な鋸入れが問われる重要な作業です。
上)創業者 海堀寅造氏
下)創業当時の霜寅商店
木がもつ表情を存分に引き出す
木それぞれの特性を生かすのは、丸太の製材工程だけではありません。例えば節。どの樹にも見られる節は、樹が生きてきた証です。節が生み出す自然な表情をいかに引き出しコントロールするか。これは小割された角材を床材のデザインへと組み上げる④木組みを行う職人の腕にかかっています。手作業でしかできない熟練の技で、節や木目の出方を一つずつ見極め、表情豊かな床材へと組み上げていくのです。
製造技術と職人技が融合することにより、「不揃(ぞろ)いの調和の美」ともいえる自然な美しさの床を生み出してきた朝日ウッドテック。とことん木と向き合い、木が本来もっている素材の力を内側から目覚めさせることが、職人達のこだわりだといいます。彼らの思いはひとつ、住まう人が床を通じて暮らしに豊かさを実現してくれること。世界の森から届く銘木の魅力を感じていただくという使命を胸に、豊かな暮らしを支える床を、今日もつくり続けています。
節は、幹が太くなる過程で枝の元の部分が幹の中に包み込まれることで形成されます。生かし方によって、木の表情を彩るアクセントになります
切り出した板材を選別する工程。幾度にもわたる選別を行うのが「アサヒ・スペック」と呼ばれる素材へのこだわりです
北米の森にて。杢匠は森の健康状態や管理状況を確かめます
厳しい品質チェックをクリアしたものだけが製品化されます
木の特性を生かしながらどう組み合わせるか。この木組みが床材の意匠品質を決定付けます
足触りから暮らしに満足を
ソファや椅子があっても、ついつい床に座ってくつろいでしまう、という経験は誰にでもあるでしょう。日本で靴脱ぎの文化が発達したのは、「住まいにおける居心地の良いスペース」を床に見出したからだといわれています。一方西洋は狩猟民族で土足文化であったため、ベッドや椅子などの家具が発達しました。日本とは異なり、床ではなく家具に居心地の良さを見出したのでしょう。
床は常に体が直接触れる場所だからこそ、その足触りが住み心地の満足度を大きく左右します。素足で天然木フローリングに触れるとその心地良さにはっとするでしょう。実際、選ばれた方の多くが、その決め手を「手や素足で触れた時の肌触りの良さ」だといいます。
見る角度によって濃淡が逆転し、ゆらぎのある美しい表情を生み出す「Live Natural Premiumサペリ」
視覚から心を癒やす木のゆらぎ
天然木フローリングの床がシートフローリング(木目を印刷したシートを貼り付けたフローリング)と全く異なることは、部屋に足を踏み入れた瞬間に伝わってくるでしょう。人の目はとても精巧で、見る向きや光の当たり方で変わる床面の「ゆらぎ」を認識することができます。
このゆらぎとは、天然木が織りなす唯一無二のデザインです。樹が長い年月をかけて創り出す木目模様、経年で深みを増す色艶。さらに光を受けると現れる特有の光沢「照り」は、人の手でつくることはできません。木という生命体の細胞壁に光が当たり乱反射することで、独特の光沢が現れるのです。
また、木目となる年輪幅は年ごとの気象条件から広くなったり狭くなったりして「1/fゆらぎ」と呼ばれる自然なリズムをもっています。これが、人が木を見て癒やしを感じる理由の一つだといわれています。自然が描く模様と光が生むリズムが、目から心を和ませてくれるのでしょう。
自然が形作る「不定形なもの」こそが、人にとって心地良い環境となるのでしょう。だからこそ、人は天然木の持つゆらぎや照りに愛着や心地良さを感じるのです。
住まいにおいて最大のインテリアアイテムともいうべき床。天然木フローリングは、住まい全体をより快適でくつろげるものにしてくれるでしょう。癒やしと温もりの住まいづくりを「床」から考えてみませんか。
東京ショールーム
ショールーム〈予約制〉
東京・大阪・横浜・名古屋・福岡の全国5か所で「ライブナチュラルプレミアム」などの商品を存分に体感できるショールームがあります。
2020年6月現在の情報となります。