軽くて強く、錆びず、持ち運びもしやすい炭素繊維ロッドCABKOMA
炭素繊維ロッド「CABKOMA」とは、石川県の染色・合成繊維メーカーの小松マテーレ株式会社が開発した、ロープ状の熱可塑性炭素繊維複合材だ。炭素繊維ゆえに、素材自体が鉄の約4分の1の軽さで、引っ張り強度は鉄の約10倍、また、錆びない素材であること、耐熱性や耐薬品性などのメリットもある。
炭素繊維そのものは日本製が世界の約70%のシェアを占めており、炭素繊維の活用が進む航空宇宙産業、風力発電などに加え、今後は建築業や、欧米やアジアでの需要増も見込まれている注目の素材だ。
写真左)CABKOMAの断面。
写真右)CABKOMAを巻き取ったロール。160mで約12kgと軽量で、持ち運びも可能。同じ強度のメタルワイヤだと約60kgの重さになるので、その軽さがわかるだろう。
写真提供:小松マテーレ株式会社
日本の建築分野でも、コンクリートの建物を補修・補強する際に炭素繊維で強化した部材が使われるなど、強度、素材安定性、施工性において優れた建築部材として、今後ますます活用が見込まれている。
「経蔵」の屋根部分
CABKOMAは、日本の伝統工芸である組み紐の技術と、炭素繊維の技術を融合したロープ状の材料で、熱可塑性の樹脂が含浸されているため、熱成形や加工が容易。常温で保管できて、切り落とした端材の再利用も可能となっている。
小松マテーレでは、炭素繊維に熱可塑性樹脂を含浸させる難しい工程で、独自の染色や薄膜の技術が生かされたという。組み紐の技術は、CABKOMAの被覆材に応用されている。