写真提供:㈱ジスコ・ボルネオ旅行社
ロングハウス(マレーシア)
~世界の環境共生住宅に学ぶ~
マレーシア
2018.03.26(2013.06.24記事再掲)
夏、高温多湿になる日本では、湿度調整ができる木や障子、畳などが住居に使われてきました。同じように、世界にも気候風土にあった工夫が施された住居が数多くあります。
それらは環境にも人にも優しい自然に寄り添ったサステナブルなもの。これからの住まいに活かしたい世界の住居の知恵をご紹介します。
ロングハウスは、共有スペースで交流を生む家
多くの少数民族が暮らすマレーシア、サラワク州。川や森で住居を構えたり、農地を持つなどスタイルはさまざまですが、これら少数民族の住居がロングハウスと呼ばれる長屋で、10~50人の大家族が一緒に暮らしています。
ロングハウスは、熱帯性気候で、雨季があるこの地域の暮らしに適したものでした。
なかでも有名なのは、イバン族のロングハウス。長さ約150m、幅10m以上ある木造の高床様式で、廊下やベランダの役割を持つルアイ、露台のタンジュ、家族の住居部分ビレック、屋根裏部屋のサダウからなります。
ルアイやビレックの床の部分は、放湿性・速乾性にすぐれた竹でスノコ様式に作られることが多く、水はけも抜群。荒れた天候が続く雨季でも快適に暮らすことができたようです。
イバン族の住宅は高床様式のロングハウス。草葺屋根に竹の床が特長。長さは100m 以上。
写真提供:㈱ジスコ・ボルネオ旅行社
イバン族の日常では、この「ルアイ」で男性は木彫りをし、女性は織物をして日中を過ごします。またゲストをもてなしたり、夜は男性たちが酒を楽しんだり、コショウなどの作物を干す場所としても使われ、共用スペースとしても機能しています。そして床下では家畜を飼っていたとか。まさに自然環境に適し、交流もできる理想的な住まいかもしれません。
廊下やベランダの役割を持つルアイ。
写真提供:㈱ジスコ・ボルネオ旅行社
ルアイは集落の人々の憩いの場所。
写真提供:㈱ジスコ・ボルネオ旅行社