コミュニティを活性化するために重要なことは、まず人が集うことです。そのために、ショッピングセンター(以下、SC)内に居心地のよい快適なスペースを設けたり、思わず参加したくなるようなイベントを実施したりしています。なかには、行政や地域のNPOなどとコラボしているSCもあり、今や地域情報発信の場としても定着しはじめています。
大和リースが運営するショッピングセンター「ブランチ神戸学園都市」。
人々がつながるショッピングセンターの新しいかたち
~CASE2:買い物ついでに立ち寄れる 地域をつなぐ街の交流拠点~
CASE1:緑あふれ、人が自然に集う場所(フレスポ稲毛)
まちづくりスポット
2016.08.30
住みよい地域づくりのための人と人とを結ぶハブスペース
「より住みやすい地域づくりをしたい」「子どもたちに地域の魅力を知ってもらいたい」ー。そのような思いを持って主体的に行動する人と団体、企業や行政をつなぐのが、SC内にある地域交流拠点「まちづくりスポット」(以下、まちスポ)です。その取り組みは、全国に広がり始めています。
まちスポは2012年、「フレスポ飛驒高山(岐阜県)」というSCのオープンに伴い、地元で活動するNPO法人「ムラのミライ(旧:ソムニード)」とSCを運営する大和ハウスグループの大和リースが協働で設立。SCを買い物をするだけの場ではなく、地域交流の場として活用できる、『まちの縁側』のような施設にしたいとの思いから始まりました。
SC内にある地域交流拠点スペース。「まちづくりスポット神戸」
「まちづくりスポット飛騨高山」
「高山には『地域ならではの仕事を子どもたちに知ってもらいたい』『人材不足を解消したい』というように、地域のために新しいことを始めたいという人が多く、その組織化やサポートをする団体が求められているということがわかりました。
そこで、まちスポ飛騨高山は、地域交流拠点を作るだけでなく、『NPOを応援するためのNPO』として大和リースと協働していくことになったのです。気軽に立ち寄ってもらうという点で、SC内にあることはとてもいい効果があります」(NPO法人まちづくりスポット事務局長 事業推進マネージャー 田辺友也さん)
この取り組みは順調で、実際に立ち上げから3年でNPO法人8件の設立をサポートしました。
地域ならではのつながりを大切にする
飛騨高山での取り組みを皮切りに、ほかの地域でもまちスポの活動がスタート。「ブランチ神戸学園都市(兵庫県)」のまちスポでは、近隣に大学が多いことから、大学との連携による取り組みが積極的に行われています。
「大学生が授業の一環として、多世代交流を目的としたイベントや、地域住民と大学をつなぐ図書館ツアーを企画開催するなど、この地域ならではの交流が増えています」(大和リース ブランチ神戸学園都市 支配人 浜田優紀子)。
「SCを運営する私たちだけで活発な地域交流をするのには、限界があります。さまざまな団体と協働しながら地域を盛り上げていけたらと思います」(大和リース株式会社 流通建築リース事業部 事業推進部 部長 小林義徳)。
まちスポのあるSCでは、さまざまな方に向けた沢山の地域イベントが行われています。このような場所が増えていくと、街が活気づき、日々の暮らしも楽しくなりそうですね。
ブランチ神戸学園都市「森のダイニング」
ママ同士の交流を育むお菓子教室
子どもを連れて参加できるアイシングクッキー教室を開催。ママ同士の交流を生み、地域に住む人同士がつながるきっかけに。
子どもたちが楽しく働く職業体験企画の開催
子どもたちに地域の仕事を実際の職場で体験してもらうことで、地域を好きになってもらい、将来の夢へとつないでいくことを目的に実施。
思わず集いたくなるイベントの実施
思いや願いを書いて、キャンドルを点火するイベントをはじめ、誰もが参加できる催しで交流を活性化。
高齢者の買い物送迎ボランティア
近くにお店がなく買い物に困っている高齢者をサポートするため、「買い物ツアー」を実施。地域のつながりを強める交流の機会になっている。
市民の活動グループやNPOの中間支援
住みやすい地域にするため、何かを始めようとしている人や団体を支援するお手伝い。「地域活動を推進できる人材を増やしたい」と田辺さん。
2015年9月発行 冊子「SUSTAINABLE JOURNEY」vol.3(ecomom秋号同封)より転載